はてなでは最近ヴィーガンが話題だ。自分も肉は食うのだが、しかし肉を食べるのは良くないことだからやめろと言われたら反論できない。
まず環境に良くない。同じ量の栄養を持つ食品を作ろうとすると、牛や豚を育てるのと豆を育てるのでは環境への負荷が数桁違う。牛が出すげっぷには温室効果ガスが含まれていて、世界中の牛が出す量を合計すると地球温暖化に無視できない勢いで影響しているという話もある。肉を食べるのは環境に良くないからやめろと言われると反論できない。
また健康にも良くない。脂身の多い肉は心疾患のリスクを高める。加工肉や赤身をとると発がんのリスクが高まるとWHOも言っている。肉を食べるのは健康に良くないからやめろと言われると反論できない。
さらに日本人としても良くない。日本で牛や豚の肉を食べることが全国で一般に広まったのは明治以降の話だ。肉を食べるのは日本人本来の姿に反するから良くないからやめろと言われると反論できない。
そして倫理的に良くない。動物愛護法は「生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資する」ため「動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめること」を禁止し罰則も設けられている。動物を苦しめるのは良くないことだという倫理は既に日本の法律に組み込まれているのである。そして、人間も犬も猫も食べてはいけないのに牛や豚は食べていいというのは一貫していない。哺乳類全般は食べない、あるいは恒温脊椎動物は食べないという風にした方がルールとしても一貫している。肉を食べるのは倫理的に整合性がとれていないからやめろと言われると反論できない。
肉を食べるのは正しいことだと主張する方法はほとんどないが、肉を食べない方が正しいと主張する方法はいくらでもある。ヴィーガンの主張をはねのけることができたとしても、このままではいつか何らかの形で肉食反対派が勝利を収める日もやってくるのではないだろうか。