新紙幣のデザイン画が出たときに、自称デザイナーが「ここがダサい」を図にして出したらツイッターで袋叩きにあってたのを見た。
中には「通貨偽造防止の意味がわからないのは素人」みたいな上からマウンティング野郎がいたりして大変愉快だったのを覚えている。
それはそれとして、改めてみるとやっぱり新紙幣のデザインはダサい。
中央揃えができてないとか、フォントがおかしいとか無駄な空白があるとか色々あるけど、個人的にはそのダサさの根本にあるのは「日本的な決定までの過程」が如実に現れているからだと感じた。
というのも自分もかつてはデザイナーのはしくれのような仕事をしてきて、あの新紙幣のような最終的にキモくなったデザインを手がけたことがあるからだ。
ああいうシッチャカメッチャカなデザインができるのはきちんとした理由がある。
あれは致命的にセンスが悪い人がデザインを担当したからではなく、「デザインセンスがない決定権のある人間」が複数人数プロジェクトに絡んだ結果あのようになるのだ。
おそらく最初のたたき台になった案はそれほどでもなかったと予想する。
しかしその案に対して、偽造を防ぐためにこういうのを入れろ、この部分は伝統的に失礼になるからこの角度にしろ、やっぱりこことここの配置は逆にしろ、と細かいことをあれこれと口出ししてくるクソダサ上司やクソダサクライアントが指示をしていき、優秀なデザイナーがそのどの顔も立てようとした結果、あのような形になってしまうのだ。
もちろんこれは自分の勝手な印象なので内部の事情は本当にクソダサデザイナーがいるのかもしれないが、
あの致命的にまとまりのない新紙幣デザインを改めて眺めつつ、おそらくこういうこと言い出したやつがいたから苦心してこうしたんだろうなということを考えたりしている。