幾ばくかの快感と共に放出した排泄物が紆余曲折を経てヒトのカタチを得ると知り頭で理解したとしても愛情を持てだの嫁を置いて出かけるなだの言われても腹の底では絶対わからないと思う。
女の身体は子宮に命が宿った途端、全ての優先順位が「腹」になる。自分の経験ではそうだった。脳のケーブルが全く違う回路に繋ぎ直される感じだ。いきなり基盤を取り替えられたような気さえする。妊娠前のオリジナルの考え方はどこかへ消えて、赤ちゃんを守りたい><それだけ><botになる。髪も、血の一滴も、皮も、五感も、自分の全てのリソースが腹の中に割かれるように感じる。</p>
でもそんな女だって誰か自分以外の他人とのセックスのあと他人の身体に残った自分の体液が十月十日後にはホモ・サピエンスになりますと言われていきなりその他人へ自分の人生のプライオリティを捧げられるだろうか。
まあ、無理だろうなあと思う。
女が頑張るしかない。
悲しいけどこれ、戦争なのよね。
例の大吟醸さんの旦那さんもそんなに叩かれることではないのでは、とは感じる。飲み会に行かず家にいたとして俺に何ができんねんて考えてそう。まあしゃあない。し、本当に愛せる女になら側で支えてあげられるタイプの男もいるので、赤い糸でなかったってことで中絶離婚でいいんじゃないかな。産みたくないと感じる子を無理くり産んで、数十年慈しむ必要性に駆られる状態になる方が悲劇だ。
そんな感じで少なくとも十月十日は埋められない溝があって、溝を男性の身体で肩代わりしてもらうことはできない以上、性差を認めて社会を作っていくしかないんじゃないのかなあ。とは思うイチ母親なのでした。