いない。
地球がもたんときがきたからと言って、アクシズを落とし、地球を人が住めない星にすることに賛同する人間はいる。
一年戦争で半分の人間が死んでもなお人が多すぎる宇宙世紀の世界であっても、目の前の生を諦め死を選ぶ人間はいない。
少なくとも、それが多数派だからこそ結果アクシズは押し返され、その大義の為に死ぬ人間がいないからこそ、爆装している機体でアクシズを支えることにやってみる価値はあった。
結局のところ、逆襲のシャアは理念の対決、大義の正否の対決、などではない見苦しいほどのエゴの対決だった。
シャアの言う嫌気がさした地球に残っている連中の実態は確かに、そうなんだろう。
ZやZZで描かれたそれが致命的に不足しているとは思わない。
だけど、それと同じぐらい、地球にいる一人一人の人間の生きることを否定するほどの大義ではない。
嫌気がさした連中だけを制裁するべきで、他の無辜の市民の生きる場所を奪う権利がシャアにあるわけがない。
セイラさんのお世話をしているであろう従者の人たちにとっても、
ZZやユニコーンで登場した地球に残っているジオン残党にとっても、
彼らにとっての大地である地球を人が住めない星にかえることに大義を感じられるわけがない。
シャア自身が拾ってきた、シンタとクムにとっても地球は自分が住んでいる星なんだ。
人は変わっていく。
少なくとも、コロニーという母なる大地から離れた新しい大地を作ることに成功した宇宙世紀は、明らかに旧世紀よりも変わっている。
そこに取り残された人もいるかもしれない。
そして肌の露出量が多いラノベの表紙でシャアは微笑んだ