2018-04-07

aikoさんとカブトムシ私たち

門前仲町とあるラーメン屋暖簾をくぐった私と同期の二人は、深いため息をついた。

新入社員研修過酷さは想像を超えるもので、私たちは疲れ切っていた。

「これからずっとこんな生活なのかな…」

「さぁ…」

私たちの間に置かれたキリンの中瓶は静かに減っていった。

そのラーメン屋に客は私たちだけで、空虚空間にはテレビがあった。

カウントダウンTV特番に、aikoさんが出ているのが視界の端に見えた。

そして、新曲を出したのかな、と思っていた私の予想をよそにaikoさんが歌いだしたのは何と、『カブトムシ』。

えっ?『カブトムシ』?

つい声に出てしまった。

カブトムシが何かあった?」

「いや…随分懐かしい曲を…と思って」

「確かに…」

私は咄嗟に調べた。『カブトムシ』、1999年ナンバーであった。

凄いな、aikoさん。

何が凄いって、全然カブトムシ』似合ってるもの

きっと『カブトムシ』をリリースしてから19年、aikoさんにも様々なことがあっただろう。

たくさん曲も書いたし、良いことも悪いこともたくさん経験してきたはずだ。もちろん、そのあいだにはきっと新しい恋もあっただろうし、失恋もあったことだろう。

にも拘らずaikoさん、今年42歳のaikoさん(調べた)、全然「『カブトムシ』を歌う女子っぽさ」の枠内にいる。これは凄いことではなかろうか!

我々は、もとより人間一般は、果たしてaikoさんと同じく「19年前の自分」と同じものが似合う人間であることが出来るだろうか。

言わずもがな19年という歳月は果てしなく長い。その間に卵子大学受験をする。高校生高橋由伸巨人軍監督になる。

今年23になる私は42歳になっている。その時、今日aikoさんのようなパフォーマンスが出せるのか…?

aikoさんの19年間を思えば我々の1週間など取るに足らぬ」という、妙に力強い結論とともに、私たちは帰路についた。

決してaikoさんに知悉しているわけではない私たちの、それでも具に感じとったaikoさんの凄さを胸に、来週も頑張ろうと思った。

(その後に歌っていた新曲も、とってもいい曲でした)

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