さあ、仕事だ。放っておくと際限なく膨らむみんなのto-doリストから、実質的に価値を生んでいない仕事を根回しののち注意深く枝刈りしていく。もし判断を間違っていたとしても、関係各位に謝って改めてto-doに加えればよいのだ。残った仕事からも、本当に必要なものは何かを明らかにして、仕事のサイズを小さくしていく。目標はメンバー全員が16時にはその日の仕事を終わらせられる仕事量にすること。遠い目標でも、公にすれば潰される目標でも、理想に向かって着実に進んで行かなくては。それと同時に残業が減る分の報酬の補填を、各所と粘り強く交渉していく。家に帰りたくないというメンバーには、会社に死蔵されてるスポーツクラブのビジターチケットを渡して、寄り道して風呂にでも入ればと提案する。
管理職なんかになりたくはなかったが、なってしまったものは仕方がない。なったからには、ちょっとでも居心地よく雰囲気を変えたい。明らかに、このチームにはリフレッシュの時間が足りない。睡眠不足からくる判断力の鈍り、ギスギスした環境、心身の不調による病欠や休職退職、仕事への極度の拘束を遠因とした離婚。そんな個人の時間を縛り上げて作られた負のスパイラルを断ち切って、業績も上げてやる。
幸いなことに、密かなこの取り組みに気がつきつつも邪魔をせず応援してくれている人がいる。ここで培った人脈、処世術、交渉術とかすべてを使って、チームを潰さず、自分も潰れず、やれるとこまでやってみよう。