2017-09-10

アイドルとは

ずっと好きだったアイドルがいた。

彼は決して器用な人じゃなかった。それでも、仕事一所懸命取り組んでいた、ように思う。

特に彼のダンスは自他共に認める実力であった。メディア露出も多く、演技の仕事もたくさんくるようになった。楽器もできるため、バンドパフォーマンスをすることも増えた。私は努力家な彼のファンであることを誇らしく思っていた。

しかし、そんな彼の才能と努力が仇となったのか、所属事務所にボロ雑巾のように使い回されるようになった。日に日にやつれていき、顔は骸骨のようにげっそりしてしまった。私は見ていられなかった。何度も泣いた。

余談だが、他人のことでここまで悩み傷ついたのは初めてだった。

その後、彼は長い間やってきたグループを抜け、違う道を歩むことになった。

メンバーが大好きで、ほっとできる場所で、最後の一人になったとしてもこのグループでいたい。そう彼は言っていた。

別のグループへの移籍所属事務所が決めたのか、はたまた彼自身が決めたのか。私のようなファンには一生分からないことだろう。

ただ、私が好きだった彼は、有言実行する男だった。

きっとこれからも彼はいいように使われていくのだろう。金になるからビジネスから。もしも彼が倒れたって誰も見向きやしない。彼の意思感情なんてあってないようなものだ。

アイドルだって一人の人間であるロボットではない。事務所における昨今のアイドルの扱いに、もっと危機感を感じるべきだと私は思う。

最近アイドルには中高生の子も多い。その仕事を選んだのは彼彼女らかもしれないが、限度というものがあるのではないか

アイドル戦国時代と呼ばれるほど熾烈なこの芸能界では、魅力的な子はたくさんいるし、これからも出てくるのだろう。けれど、私には彼しかいなかったように、ファン応援しているその子しかいない。代わりなんてどこにもいない。消耗品ではない。

もう一度、アイドルという職業を深く考えて欲しい。そんなことを思いつつ、私は今日も彼のいる場所へ足を運ぶのだ。

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