過去の同級と旧交を温めたいのか。
高校の頃の思い出話に花を咲かせたいのか。
悪いけど俺はゴメンだ。
俺が青春の痛みだの切なさだのをもって
かろうじて振り返れる思い出といえば
一人で何かしていたことばかりだ。
例えば文化祭の時、たった一人、
図書館かどこかでやってた百円市で
使われず封鎖されてた教室に入り込み
日が暮れるまで一人で楽しんだこととかさ。
東京タワーや秋葉原を一人ウキウキでうろつき回ったこととかさ。
下校のバスで一人、
テクノ聞いて秋の夕暮れがすげえ綺麗だと思ったこととかさ。
それで、そういうので、すげえ楽しかったんだよ。
オマエやオマエ達と友達風の付き合いはしていた。
あん時の結びつきは
振り返る時オマエはいない。
ヒドいこと言ってんのはわかるよ。
オマエすげえ喜んでたな。俺には何の感動もなかったのに。
オマエは俺を飲みに誘った。
そこはかとなく育っていたから、
でも、正直な話、
何かしらの感情が刺激されることも、
ホント、無かったんだ。
ヒドいのは俺だ。わかってんだけど、
でもどうしようも無いだろう。無いんだから。
あの頃俺は一人で勝手に満ち足りてた。
あれはあれで楽しかったんだ。
こんなことを書くというのは先日、
件の同級とまた再開したからだった。
場を切り上げたが、オマエは「また飲みに行こう」と言ったな。
オマエが俺をどう思ってんだか知らないけど、
俺はホント、こういう奴なんだよ。
そこは申し訳なく思う。
だからと言って飲みに行ったりはしないんだけど。