元々女体化はそこまで嫌いじゃなかった。
女体化が苦手だと思ったのは今のジャンルに来てから。そこでハマったCPでは結構な頻度で受けの女体化作品を目にした。
それが持て囃される度になんとも言えないモヤモヤを胸に抱えていた。これが解釈違いかと、面倒くさい人間になった自分にショックも受けた。
しかし、何度かその女体化に遭遇すると、解釈違いとは別のところでもやもやしていることに気付いた。
女体化した受けちゃんは優しくておっぱいが大きくて攻めくんもそんな優しくておっぱいの大きい受けちゃんが大好き! みたいなのが多かったのだ。
その上女体化した際の受け攻めの葛藤もなく、簡単に受け入れて簡単に同衾してしまう。最初から女というのも少なくはなかった。
表面上はヒロインを受けちゃんに置き換えることで夢であることを否定しつつ、内容では受けの人格や体を魔改造してもはや受けではなくなった何かを攻めに充てがっている。
これは夢者に対してもCP者に対しても砂をかけているようなものだ。
正直に言うと私は夢は好きな方だ。原作にはいないオリジナルのヒロインを考えて好きなキャラに充てがう。
しかしオリジナルヒロインはオリジナルヒロインでしかなく、原作にオリジナルヒロインが同様の立ち位置で登場することはまずないという割り切りがある。
夢ヒロイン置き換え女体化の場合は、その割り切りもなく受けの原作における地位は維持しつつ中身は別の何かにすり替えているのだ。
夢の中には成り代わりというものもあるが、そっちは一応本人ではないという認識がある。夢ヒロイン置き換え女体化は受けだと自己認識している分それよりも質が悪い。
全ての女体化がそうだとは思わない。例えば原作の性格を崩さず、話のスパイスとして女体化を入れるのは夢ヒロイン置き換え女体化には当てはまらないだろう。
しかし葛藤もない上にそもそも原作とはかけ離れた人格設定をなされたそれは、もはや受けと言うよりは受けだと思い込んでいる別の何かだ。
先に「夢者に対してもCP者に対しても砂をかけている」と言ったが、そこに「原作キャラを踏襲した女体化を書く人・好む人」も追加したい。
この方々に砂をかけながら、当たり前のようにCP者として居座るその根性に私はもやもやしていたのだ。
こういう話になった時「そもそも性的志向を捻じ曲げといて人格改造もクソもねーわ」という反論が飛び出るが、そうじゃない。
原作を見た上で「原作のこの性格の攻めと受けがくっつくとクッソ萌える」というのが根底にあり、男同士がくっついたら中身はどうでも良いなら素直に商業BLを読む。