父はキャパが小さく、自分の問題で手いっぱいになるとパニックになって家族に当たり散らすタイプだった。
一番ひどかった中学生の頃はいつでも胸の内にマグマのような怒りが煮えたぎっていたのに、あの強烈な感覚を感じなくなって久しい。
昔よりいろんな事情が見えるようになって諦めを覚えたのか。怒りを燃やし切って勢いがなくなって、もういいやという気持ちになったのか。
大人になったのかもしれない。でも、今、自分の人生を占めていたそれがなくなった分、自分の空っぽさが痛烈に身に染みて、痛い。
今まで親のことにエネルギーを割いていたが、他の子は自分の人生にエネルギーを注いで、充実させてきたのだろうか。
私は自分の人生をさぼっていたのだろうか。親のことを言い訳にして。
漠然と、父を殺して自分も死ぬ将来のイメージが頭の隅にあった。働くとか結婚するとか、そういう幸せなイメージじゃないのが自分でも悲しい。
なんとなく20歳そこそこで死ぬと思っていたけど、結局死ななかった。
でも今まで人生って苦行だと思っていた(そのほうが辛い目にあったときダメージが少なくて済むから)人間にとってはくそ難しいぞこれ。