2015-07-26

いつから悪口を言うようになったんだろう

子供の頃は悪口が嫌いだった。

今思うと不思議だけど、あの頃は「悪口を言う人は悪い人」「神様が見ているから悪口は言っちゃいけない」と本気で思っていた。

から絶対に人の悪口を言わなかった。

そもそも深い悩みや大きな挫折もなかったので、悪口を言うようなタイミングがなかったのかもしれない。

今や自分もびっくりだけど、高校卒業するまでほとんど他人の悪口を言ったことがなかった。

周りが悪口を言っている時でも、自分は言わないように適当に話を合わせるだけにしていた。

15年ほど前、私は高校卒業して東京大学に出てきた。

これまでとはまるで違う、様々なタイプ人達出会った。田舎から出てきた私には全てが新鮮でキラキラしていた。

そして恋をした。すごく好きになって、デートして、はじめてセックスした。

セックスした後、その人は「え、俺たち付き合ってないでしょw」と言った。

「おいおい俺たちが付き合ってるって周りに言わないでよw そんなんじゃないしw」とも言った。

はじめて好きになった人だった。

苦しみを抱えきれなくて、私は東京友達になった子にはじめてその人の悪口を言った。

悪口は快感だった。

今まで悪口を言わないようにしていたのはなんだったんだろうと思った。

言えば言うほどすっきりした。

なんで私だけが悪口を言わないで我慢していなきゃいけないんだろう。

世の中には悪い人がたくさんいるんだから、こっちも悪口で応戦しないと生きていけないんだ、と思った。

もう戻れなくなった。悪口をいう対象はどんどん広がっていった。

毒舌」という名の下に悪口を言うのは気持ち良かった。

私は気づいたら毒舌キャラになっていた。

友達が変わった。周りも毒舌の人が多くなった。

そして周りの人から悪口を言われないよう、完璧な人にならなければいけなくなった。

スタイルが良くなければいけない。

センスが良くなければいけない。

お金持ちでなくてはいけない。

仕事ができなくてはいけない。

悪口や毒舌を続けていたら、毎日生活が不満だらけになった。

この世界には文句をつけたいことが溢れている。

からいくらだって文句を言い続けることが出来る。

口に出すだけじゃなく、ネット上にも悪口や批判をどんどん書き込み続けた。

田舎から出てきたあの日、キラキラと眩しかった東京の街は

今の私にはグレーにしか見えなくなった。

子供の頃、親に「言葉には霊があるのよ」と散々言われた。

変なの、と思っていたけれど、今は本当の事のように思える。

悪口を言い出して私の人生は変わった。

苦しい。

私は汚れている。もう白くはなれない。

でも、この濃いグレーの世界のまま死にたくない、と思った。

もう一度、私の眼に映るこの世界キラキラさせたいと思った。

急に悪口を止めるのは無理かもしれないが、

少しずつ、口に出したり書き込んだりすることをやめてみようと思う。

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