中流家庭出身。姉が母から、虐待されているとなりで育った。どうして勉強できないのか、どうじて数の概念が分からないのか、どうして時計よめないのか、どうしてこんなに成績が悪いのか、とかそんな感じ。
母は姉に向き合うことをせず、なぜできない、おまえはだめだ、といって怒り、手を上げるばかり。こんな姉にようにならないで生きて行こう、というのが私の人生の重要な課題になった。
そして30年くらいたった。
社会人としては、まあ悪くない給料を稼ぐ人間になった(まだ足りないけどさ。年功序列なので仕方ない)。友人も多くいる。最初は住みなれなかった関西にもなじんできた。子供はいないが妻が一人。一緒に住んでいないが、父と母、あと姉。
しかし、家族や夫婦のことで色々と衝突が発生するようになって気が付いた。自分は、衝突を避けるためにその場その場で適当に嘘をついて生きてきた。昔は、姉のようにならないためには、状況が母にとって好ましい必要がある、よって事実を告げずに嘘をつくことをやっていた。
その嘘つきによって、ある意味救われてきたものだから、日常の小さな衝突も恐れて嘘ばかりつくようになった。とにかくたくさん。今までは空気のようにたくさん嘘をついていることについて違和感もなかった。
小さな嘘はいいのです。例えば「今日間食しなかった?」「しなかったよ(実際は菓子パン食べちゃったけど)」みたいなもの。しかし、重要な局面についた嘘というのが、あとになって露呈して自分の人生を苦しめるということを、現在進行形で体験している。
・美しい妻とどうしても結婚したかった、しかし私の家庭は虐待母で、姉は虐待されて育ってNEET、いや精神病?、なんて言いたくなかった。よって嘘をついた。罪悪感はあった。でもなんとかなると思った。
・妻と深刻な衝突が発生した。その重要な原因を「父と母」のせいにした。本当は自分が悪かった。罪悪感はあった。でも妻に嫌われたくなかった。何とかなると思った。
・自分のついた嘘のせいで、妻と、父母の関係がこじれた。そのため嘘を重ねた。何とかなると思った。
嘘は、ひょっとしたことからばれそうになる。嘘と関係する出来事がでてきて、それについて思ったまま答えると、よく考えるとつじつまが合わない。嘘がばれそうになる。まずい。よって別な嘘をつく。
こんなことをやっているものだから、妻も自分に対して強い不信感を持っている。そりゃそうだ。嘘なんてついていないよ、という顔をして、嘘に嘘を重ねているのだから。
妻に全部話すことなんてできない。人生の重要なポイントポイントで大きな嘘をついてきた人間をどうやれば信用できるのか。嘘をつきまくったことをいえば、自尊心が傷ついた妻は私の元を去るだろう。もしくは、去りはしないが、私と精神的に夫婦であることをやめるだろう。