「孤独だ」
年齢は?
「29」
付き合っている人は?
「いない」
どんな時に孤独を感じる?
「なにをしていても、ふとした時に感じる。仕事が終わって、誰もいない部屋に帰って、ひとりでコンビニ弁当を食べることにはもう慣れた」
なにかこう、具体的なシチュエーションがあるわけじゃなく、ふと自分の孤独な一面をのぞいてしまう、という感じかな?
「結婚した友人は幸せそうだ。一方で、ずっと恋人のいない友人は、もう人生を諦めて割り切ってしまっている。そんなことが私にはできない」
君はまだ29歳なんだ。人生を諦めるにはまだ早いさ。
「違う。29は、もう人生の終盤だ。この先のほとんどのプロセスが、既に決まっている」
そんなことはない。1年後にはまったく違う君になっているかもしれない。
「そんな気力はもうない。ああ、もうすべてを壊してしまいたい」
たとえば、なにを壊したい?
それも特定の誰かや、何かじゃなく?
「特定のものを壊したり、作り上げたりすることなんて無駄じゃないか。嫌いな誰かを殺したりする、あまりに短絡的で愚かな行為だ」
そうだね、人を殺したりするのはよくない。
「そこに意味を持たせることが愚かなんだ。だから、すべてを壊したい」
うん。もしかしたら、思い通りにいかない日々に苛立ちを感じているのかもね。支配欲が強いのかもしれない。
平等、という考え方もある。
「それは理想だ」
理想でも、追い求めなくては実現しない。君が不満を感じているのも、理想としているものと現実との解離が激しいからじゃないかな。
うん。そうだね、まずはゆっくり休もう。君の心の中を、真っさらな状態に戻すんだ。こわいかもしれないけど、壊すべきはまず君のその心なんだ。
「お前が悪い。お前がすべての元凶なんだ」
「クソ!!お前のせいですべてが狂い始めたんだ!!無性に腹が立つ!!いますぐだ!!いますぐお前を殺してやりたい!!」
そのうち忘れかけていた昔の幻覚が見えてくるだろう。
幸運を祈る。