父が嫌いだ。
どれくらい嫌いかというと、それはもうめちゃくちゃ嫌い。憎いし嫌いだし怖い。
この感情をエネルギー変換すれば街一個分くらいまかなえるんじゃなかろうか。とにかくもうめちゃくちゃ嫌い。
多分これは家族の総意。母も兄も姉も皆、父が嫌いだ。
どこが嫌いかというと、言い出したらめちゃくちゃあるけど、一番は中学生並みの沸点の低さだ。
家族の中で自分が一番偉いと思っているらしく、少しでも口答えしようものなら怒りの炎が巻き起こる。(趣味で演劇をやっているから怒るとめちゃくちゃうるさい。)
まともな会話が出来ない。いつも、いつ怒るのかとビビりながら過ごす。
2日前、めちゃくちゃ喧嘩した。今も引きずるくらい胸くその悪い喧嘩だった。
あまりにも理不尽な理由で喧嘩を売られたもんだから、言い返してはいけないのに、怒りの口調で言い返してしまった。
そしたらもう父も私も手がつけられないくらいに怒鳴り合って、最後は父が家を出て行った。
小さい頃はそれはもう、この世の終わりではないかというくらい不安でどうしようもなく、
「お父さんが居ないと寂しい」みたいな内容の手紙を書いて上着のポケットに入れていた。
今考えたら父の家出という行為は、母と私たちに対するただの脅しで、それに屈して手紙なんか書いてた自分が恥ずかしい。
恥ずかしいし悔しいしムカつく。
父という存在は、色んな描かれ方をするけど、私にとっての父は最早ガンのような存在だ。
母を怒鳴りつけ、全て自分の都合で人を振り回し、気に入らなければ物をなげつけ家を出て行く。
祖母(父の母)が末期の病に臥していた時も、介護を全て母に押し付けて自分は趣味の演劇ばかりをやっていた。そのくせ、人前では祖母を語るとき美談のように語る。(外面をめちゃくちゃ気にする。)
母は今でも祖母を思い出して泣くけど、父は一周忌にすらでてこない。
育ててもらった恩、みたいものがあるから、この感情をどうにかしようと思うが、もう無理だ。嫌いで仕方がない。
親孝行は母にだけしている。
その父の遺伝子を、自分も受け継いでいると感じる時があり、それはもう最悪の気分になりめちゃくちゃ落ち込む。
唯一救いは、母の遺伝子も私は受け継いでいることだ。
母はめちゃくちゃ優しい。少し抜けているが責任感があり、人の気持ちを一番に考え全てを包んでくれる。理想の母親と胸を張って言える。
なにせ、私たちを見捨てずに40年近くもあの父と夫婦関係を続けていてくれたことだ。本当に尊敬する。
まぁとにかく父がめちゃくちゃ嫌いだ。
父の葬式で泣けるかわからないと思うけど、今想像したらなんだかわからない涙が出てきた。
それがまたムカつく。
父とは一体なんなのか分からない。もう嫌だ。