住職が死に跡継ぎがいない場合、留守居役としてオイラのような流浪人が呼ばれることになる。
上記が主な理由だ。
ということでN県のとある山のふもとにあるお寺さんに不幸が訪れたので、お前行け、と支度金100万円を渡され、すぐさまN県へ飛んだ。そんな時の話。
いつものように掃除を終えて一休みしながら昨夜初めていったキャバクラのAちゃんにナンパメールを送っていたときのことだった。
「ごめんくさーいい。」
「おまえさんに見てもらいたいもんがあるんじゃが。」
BさんはiPhoneを取り出し、僕に画面を見せようとするもなかなか写真が現れない。
「貸してください。」とひったくるようにしてiPhoneを奪い、勝手に写真を見る。
「東京の孫が送ってきたんじゃがのう。誰も相談する人がいないけ、じいちゃんなんとかしてえな、とな。」
よく見ると日本人形だった。まるで画面の向こう側から目で殺そうとするかのような強い視線を感じた。
「この週末帰ってくるいうてるからよぉ、供養してやってけろ。」
Bさんはそう言って、孫の身に起きた不可解な現象を話し始めた。その人形は、同級生が大学を止め帰省する際に引き取ったものだという。孫はその人形をひと目見て気に入ってもらってきたそうだが、怪奇現象はその晩から起きていたようだった。
昔から人形好きだった孫は、和洋を問わず、人形をたんすのうえにずらっと並べていたという。その日本人形は大きかったので、一番奥の方に立たせるようにしていたそうだ。
翌朝、起きると人形が数体たんすの上から落ちていたという。よくみると日本人形の前に鎮座していた人形ばかりだった。ぽっかりと空いた日本人形の前には、おそなえものを置けるくらいのスペースが空いていたという。
孫は落ちていた人形を拾い、元に戻してそのまま学校へ行ったそうだ。
帰宅して人形を確認すると、何事もなかったかのように全てきれいにならんでいた。
ところが、また夜寝て起きてみると日本人形の前が空き、同じように数体の人形が床に落ちていたという。
気持ちが悪くなり、落ちた人形は別の場所にうつし、パソコンのカメラで一日監視してみることにしたそうだ。
また夜が来て、朝起きる。
今度は、空いたスペースの前の前の人形が床に落ちていたそうだ。
Bさんの持ちネタを増田で再利用かよ