10年以上前、学生だった俺はテレビの某番組にネタを投稿することに全力を傾けていた。その番組は視聴者から体験談を募って再現VTRを作り、それに対して司会者とゲストがトークをするというもの。この手の番組としては破格の謝礼3万円。金がない、しかし働きたくない、という俺には格好の現実逃避だったのだ。
けれども世間はそんなに甘くはない。投稿すれども採用されず投稿すれども採用されず数ヶ月経ち、なんだこれ投稿フォームがぶっ壊れてんじゃねーのか?そう思い始めた頃、俺はその番組の特番で己の投稿が映像化されているのを目撃する。
やったー!さんまんえんー!
ってかまじで再現VTRになるんだwwww
喜んだ。学生に3万円はでかい。何しようか、何買おうか、エクストリーム皮算用である。
…ってあれ?こういうのって放送前に連絡が来るんじゃねーの?
ていうか俺は「彼女が~の時に~と言っていた」という文脈で投稿したはずなんだが、VTRでは「娘が~の時に~と言っていた」と母親目線になっていたよな…?
彼女が言っていたのは特徴的なセリフだったので、ネタかぶりはまず考え難い。そしてそのセリフを聞いていたのも俺だけだ。何よりも彼女の母親はもう亡くなっているのだ。慌てて彼女に連絡を取ると、俺が無断で投稿したことにまずブチ切れ、しばしの後「その話は誰にも言っていない」と言ってくれた。
………これは…
…これは…アレだな…。
放送作家さんが…投稿に…適当に手を加えて…VTR作っているんだ…な…。
今になってみれば、そりゃそーだろ毎回全員に3万払ってられっかよとしか思わないが、当時純粋なバカだった俺はひどくひどく傷ついた。くそっ大人なんて汚い奴ばっかりだ!TVなんてみんな嘘っぱちだ!大人に腹を立て、番組に腹を立て、そしてこんな番組に数ヶ月も投稿を続けていた自分にも腹を立てた。立てたが…怒りの持って行く先はどこにもないのだった。周囲に投稿していたのがバレるのは恥ずかしかったし、3万円を受け取り損ねたことを言いふらすのもさらに恥ずかしいからである。
そしてこの件は、「番組が終わったら『そういえば昔こういうことがあってさ~』と笑い話にしよう」ということになり俺と彼女の胸の内におさめられた。
10年以上経った。
大組織の中の連中は人のアイデアやコンテンツを盗んでもなんとも思わないクズだらけだからね。
あの番組ほど「うちの番組怪しいでーす!」って喧伝してる番組はないと思うよ。写真が軒並み怪しいだろ。純粋だったんだなー。
今は3万円じゃなくて5万3千円だっけ?
面白いヤツ集めて、エピソードネタ作って ネットにこっそりアップしておいて魚拓でもなんで証拠のこしておいて 採用されても賞金こなかったら抗議の電話して録音してそれをうp。 と...