自分の歌を聞けとか、演奏を聞けとか、パフォーマンス見ろよとか
曲や動画といったパッケージを作る場に居てピンポイントに何かを見ろという人が思った以上に多い。
演奏してみたでも、歌ってみた…各種あるんだろうが
機材をごく一部分の作業の為にしか使いこなせていないなら劣る部分に目が行くのはやむをえないのでは?と思った。
右も左もわからない状態から拙いながらも何かを生むまでの時間を競っているんだろうかと思う。
遊んでいる、楽しんでいるならいいと思う。
ある日の取材で、「最近人気も出てきてソレでメシを食っていこうという気持ちになってきているが
どうすればメシを食えるようになるかがわからない」と尋ねられた。
例えばちょっとした技術的な事はできるかと聞いてみるとまずその言葉がわからない と言われた。
MTRのようなボタンを押せば録音するような道具だと思っているならそれでいいのではないか?と思ったが、
どうもその人は作曲をしたいと言う。DAWや楽器を使いこなし作曲をしたいのだと。
それならDAWも楽器も既にあってやれているのではないか?と問うと違うのだと言う。
ミキサーなどのエンジニアやライター、制作会社での業務風景とは程遠く、
どうすればそういう世界と自分の今やっている事がつながるかわからないと。
どれをとっても自分の身の丈に合わせて一つ一つレベルを上げていった結果だと説明してみたが、
どうもその、時間をかけて何かを磨くというのが辛い事らしい。
取材したその人以外も、軒並み時間を掛けて研鑽する事を面倒な事だと回避する傾向があったが
時間をかける代わりに数十万程度の子金をかけているのが現代の姿なんだろうか?
だとすれば耳や目などの感覚、いいものをいいものと知覚する感性を養うのは難しい事なのか。
「なんとなくPCが身近にあって数万円の機材やプラグインを買ってやってきた自分には
突然この帯域がどうとか耳を要求されたりしてもわからない。どうやってそれを養えば
次の仕事に間に合うのか。まるで断崖絶壁で仕事にできる気がしない」
と語ったあの人に、だったら仕事にせずその辺りでチヤホヤされていればいいではないかと言えなかった自分はオトナになってしまったのかもしれない