朝日新聞の記事
http://www.asahi.com/business/update/0614/TKY201206130859.html
これを読んで「企業が精神障害者を雇わなければいけなくなる」と勘違いしている人が多い(おそらく新聞記者もそう思っている)ようですが誤解です。
というより、すでに企業は精神障害者を雇っています。事実上、精神障害者の雇用は義務化されています。
どういうことか、具体的に説明します。
障害者の法定雇用率は1.8%ですので、200×0.018=3.6人以上の障害者を雇う義務があなたにはあります。
法律で雇用義務があるのは身体障害者と知的障害者です。ですから、4人全員を身体障害者で揃えてもいいし、知的障害者で揃えるのもアリです。
さらに、身体3人知的1人みたいにブレンド(?)して適材適所で採用するのも構いません。
ここからがややこしくなるのですが、実は、精神障害者を雇っても、身体障害者または知的障害者を雇ったものと「みなされる」のです。
つまり、上記の4人のうちに精神障害者を含めても、法定雇用率を満たしたことになります。
障害者枠(法定雇用率を満たすために障害者を雇う人数の俗称)の4人のうち、4人とも精神障害者でもいいし、3人身体障害者で1人だけ精神障害者みたいなブレンドでももちろんOKです。
あなたがハローワークに障害者の求人を出すと、身体障害者・知的障害者・精神障害者がどっと応募してくるでしょう。そのなかから好きなのを選べばいいのです。
どの障害の人を雇うかはあなたが決めればいい。
障害者枠の対象となる障害者は障害者手帳を持っている人が対象となります。身体・知的・精神それぞれに手帳制度があります。
精神障害者が障害者枠の対象となったのは2006年からです。身体障害者とは違い、施設面などでの特別な配慮が不要のため、意外とその枠で働いている人は多いです。
普通、障害者枠で精神障害者が入ると、「枠の人」であるのを知っているのは人事と上司だけだったりするので、あなたの会社にも精神障害者が働いている可能性は十分にあります。
今回、精神障害者の雇用義務化がなされるとしたら、精神障害者を雇った場合に身体障害者または知的障害者を雇ったものと「みなす」のをやめて、正式に(?)精神障害者も障害者の法定雇用率の算入対象となりますよ、ということです。法律の文面が変わる(というか現実に合わせる)だけです。
追記:
各企業が何人の障害者を雇わないといけないか、それを決める「法定雇用率」は「雇用義務のある障害者が何人いるか」で決まります。
精神障害者の雇用が義務化されると、雇用義務がある障害者の母数が増えるので、当然、法定雇用率が引き上げられます。
1998年に知的障害者の雇用義務化が行われた結果、法定雇用率が引き上げられました。
参考資料