2019-12-25

anond:20191225103451

大前提

人間の肉体って、残念ながら有限なのな。だから、5兆円かけたからって、100円でアイス食う幸せの500億倍の幸せを感じられるかと言えば「それは無理」なわけ。だいたい500億倍の幸せって何だよそもそも。もう発狂してるだろそれは。

ステップ

そして、人間というのは圧倒的に環境に「慣れる」生き物なわけ。だから、一日を300円で過ごしてた人が1000円で過ごす生活を続けたらそれはもうすぐ慣れるし、何なら1日3万円かかる生活になったところで1月もすれば慣れるよ。でもって、かかった金に見合う「幸せ」は最初から感じられない前提なんだからいくら金があろうが慣れちゃうんだそれは。肉体の限界範囲内なんだから

ステップ

そしたら、次には「失う恐怖」が出てくるのね。一日300円生活をしてる人間には分からないだろうが、一日300円生活をしてた人間が5兆円人間になったら、とりあえず「元には戻りたくない」感だけはものすごいことになるわけ。かつて自分が喜びを覚えていたものも、楽しみ、幸せ、全てが「今」と比べて色あせて見えるから、もう300円生活には戻れないの。戻ってももう元のように充実した人生を送ることはできないの。そしてその「失うかもしれない恐怖」だけは、いくらお金を積んでも、むしろ積めば積むほど消えないんだなこれが。

ステップ

その恐怖を埋めようと、手当たり次第に模索する段階が次に来る。馬鹿みたいな趣味に金をつぎ込んだり、「昔の夢を今こそ実現」みたいなな? 株で儲けたヤツが狂ったようなオタルームを作ったりするのがこれ。でも大体虚無の顔つきをしてるだろ。そうなんだ。もう「かつての夢」をいくら実現したところで、残念ながら幸せにはなれないんだよ。だってそれは「かつての自分」が見た夢だから。そして今の自分には「夢」がないから。その「かつての夢」が遠い所にあるものならそれが実現するまではまだ夢を見ているような幻想には浸れるかもしれないな。ホリエモンがやってるのとか、要するにそういうことだろ。でも、それもまあ実現が見えてくると、多分すーっと醒めてくるんだぜ。後には何も残らない。

ステップ

そこで、次には善行を積んだりボランティアに励んだり寄付したり養子を取ったり、と、そういう段階に来るわけだ。身分を隠して何かをする、ってのもその一つだな。つまり金では得られない何かを得ようとするわけだ。そうはいっても手に持った金を捨ててるわけじゃない以上、さっきの恐怖から解放されるわけではないんだがな。まあ、いまのところこの段階があることで金持ちにも一応少しは「救い」っぽいものがあるようには見える。けどな、それはほんとにうすっぺらい、恐怖感をすぐ背後にしのばせた、本人も自覚する偽りの「救い」なんだよ。どれほど周囲から称賛をされてても、本人は一向に幸福になったようには見えないだろ。そんなもんだよ。金があったところで。

でもって今回のケース、5兆円あったら、間違いなくステップ3まで一直線だわな。むしろそうならない未来想像できない。そして、偽りとは言え唯一の「救い」ではあったステップ4があらかじめ禁じられている、というのが、今回の前提なんだよ。それで、どうやって生きてくつもりなのやら。

そもそも金を持つ時点でその人は「周囲の誰も信じられなくなる地獄」に落ちるんだよ? 金がないときは信頼なんてたやすく手に入る。金もなく特にすごくもないお前の周りに居る人間は間違いなく損得抜きでお前と付き合ってくれる「良い奴」なんだからな。でも、5兆円を手に入れてみ? 残念ながら、そんな人間を見付けるのはほぼ不可能になるんだぜ。ただの孤独じゃねえ。世界中を敵に回すような孤独だ。救いもなく、夢もなく、世界中を敵に回して……そんな生活を送ることになるわけだ。

世界を敵に回して、お前の味方といえばただ金だけ。そんな状況で果たして5兆円がどれほどの金だろうな? 残念ながらものすごく中途半端で心許ない額だとしかいいようがない。お前と接触する人間は誰も彼もお前を人間としては見ず「金」としてしか見ない。お前という人間の喜びにも悲しみにも誰も興味を抱かない。お前は誰のことも信頼できない。お前はずっと一人だ。お前の手にはただ金しかない。金で人の顔をはたいて生き、金を払って関心を買い、金を払って自分誕生日を祝ってもらい、金を払って「トモダチ」や「コイビト」をやってもらう。寝ている時すらお前は自分の金が奪われないかと怯え続けることになる。普通なら、せめて金を払い続けることで「社会的地位」みたいなもんが得られるようになり、そして、それを通して「孤独」ではなくなったりもするんだがな。残念ながらお前は5兆と引き換えに「永遠孤独」を選ぶわけだ。お前の書き込みには増田ですらレスがつかなくなるような絶対孤独。そんな生存にもはや意味があるのかないのかすら分からない。

そんな状況で唯一5兆円の使い道があるとすれば「痛みが無く苦痛もない安楽死装置の開発費」くらいじゃないか。後世には「自分のために私費を投じてこれを開発した奇矯な人」くらいの形では名前が残るかもしれない。本当にそれがいいなら、そういう選択もいいだろう。

まあ賭けてもいいが、お前程度の想像力の持ち主が金を握ったら、自分無視され続ける孤独生活我慢できなくなり、世界人類を振り向かせるため「世界破滅させる」みたいな発狂コースを選ぶだろうと思うよ。ホント、はた迷惑から止めて欲しいんだよねそういうの。

  • で、何を賭けるの?5兆円?

    • 5兆円はいらない、という話なんだが? お前が負けてもお前から得られるものって何もないじゃん。賭けが成立しなくね?

  • 友達から「俺が宝くじで3億円当たってもお前は友達でいてくれるか?」って言われたの思い出した

  • ああまあ大金を持っても狂わない人間の器みたいなのはあるかもね。 自分で稼いだ人はそうなりにくいかもだけど、それでも狂う人もいる。 突然大金が転がり込んできちゃうのはかなり...

    • 昔見た「マイナーブラザーズ 史上最大の賭け」って映画が面白かった。30日で3000万ドルを「誰にも理由を言わず浪費する」というミッションに挑む話。なかなか哲学的なテーマだ。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん