ラブホをお城と勘違いしてラブホ通いが趣味になってしまった女の子、成瀬順は、父親が浮気相手とラブホから出てきたところを母親に言ってしまったために(彼女に悪気はない)、両親は離婚、父親からは「お前のせいだ」と詰られた。そして突然現れた「玉子の妖精」とやらに喋ることを封印され、言葉を発するとお腹が痛くなるという呪いをかけられる。ここまでが導入部分。
それで(たぶん)10年後、成り行きで地域イベントの実行委員をやらされることになった彼女は、成り行きでミュージカルの主役をやることになる(歌を歌っても大丈夫なのは途中で気づいた)。いろいろあったけどミュージカルは無事成功、自分に呪いをかけた玉子の妖精は消え、女の子は同じ実行委員の男の子から告白を受けるところで話は終了。
開始5分の予想だと順は無事喋れるようになって坂上くんとくっつくことを予想していたけど、順は喋れるようにはなっていないし、坂上くんは元カノとヨリを戻して、順は野球部の人から告白を受けるだけに終わってて予想が外れた。
ここでいう「玉子の妖精」は心理学的に言うところのイマジナリーフレンド、「呪い」は失声症のことであろう。所謂イマジナリーフレンドからストレスを受けて、そこから失声症を発症、悪化させる事例を私は知らないが、どう考えても心療内科等で治療を受けなければならない案件だ。ちなみに彼女がそういった治療を受けている描写は一切ない。
ゴールデンタイム然り、一週間フレンズ。然り、病気をファンタジーで誤魔化すことの是非はともかく、娘のラブホ通いを把握できず、病院にも連れて行かず、娘を詰って世間体を気にするだけの母親などはほぼ典型的な毒親であるし、周囲が絶望的に病気に無理解なので、この先彼女の病状は悪化こそすれ良くなることはないだろう。
そういう意味では、継続的な治療を受けたメンヘラちゃんとかカミーユとかに比べても非常にバッドエンドな作品であるし、毒親に人生の大半を台無しにされた少女の物語として映画を見ると面白いかもしれない。