2024-10-31

量子コンピュータを用いてRSA暗号を解読する

RSA暗号構造

RSA暗号は、以下の手順で構成される。

1. 素数選択: 2つの大きな素数 p と q を選ぶ。

2. モジュラスの計算: N = p * q

3. オイラートーシェント関数: φ(N) = (p-1)(q-1) を計算する。

4. 公開鍵秘密鍵の生成: 公開鍵は (N, e) であり、e は gcd(e, φ(N)) = 1 を満たす整数である秘密鍵は d であり、d * e ≡ 1 (mod φ(N)) を満たす。

素因数分解問題

RSA暗号安全性は、合成数 N の素因数分解計算的に困難であることに依存している。具体的には、次の問題が考えられる:

N = p * q

この問題解決することがRSA暗号を破る鍵となる。

ショアのアルゴリズム

ショアのアルゴリズムは、量子コンピュータ上で動作する効率的素因数分解アルゴリズムである。以下にその主要なステップを示す。

ステップ1: 整数選択

任意整数 a を選択し、N に対して次の条件を満たすことを確認する:

  • a < N
  • gcd(a, N) = 1 (これは、a が非自明な因子を持たないことを意味する)
ステップ2: 順序の計算

整数 a の順序 r を求める。順序とは、次の条件を満たす最小の整数である

a^r ≡ 1 (mod N)

この順序は、量子フーリエ変換を用いて効率的計算される。

ステップ3: 量子フーリエ変換

量子フーリエ変換は、状態ベクトルを重ね合わせて次のように表現される:

|x⟩ = Σ(k=0 to N-1) |k⟩

ここで、量子フーリエ変換適用することで周期性に関する情報が得られる。具体的には、

QFT |x⟩ = (1/√N) Σ(j=0 to N-1) Σ(k=0 to N-1) e^(2πi jk / N) |j⟩

ステップ4: 古典的な後処理

得られた状態から測定を行うことで周期情報が得られる。この周期情報を用いて次の式を考える:

x = a^(r/2) - 1

y = a^(r/2) + 1

これらが非自明な因子である場合、p と q を次のように計算できる:

p = gcd(x, N)

q = gcd(y, N)

ステップ5: 確率成功率誤り訂正

ショアのアルゴリズム確率的であり、成功率は高いもの100%ではない。そのため、誤り訂正技術複数回実行することで成功確率を向上させる必要がある。

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