金利上昇のメリットを説明するには、いくつかの側面から考察する必要がある。
単利計算では、利息は元本にのみ付く。年利率をr、預金額をP、年数をnとすると、n年後の金額Aは以下の式で表される:
A = P(1 + rn)
金利rが上昇すると、同じ預金額Pと期間nでも、最終的な金額Aが増加する。
複利計算では、利息が元本に加算されて再投資される。この場合、n年後の金額Aは:
A = P(1 + r)ⁿ
新規発行の債券の利回りが上昇する。債券価格Pと利回りyの関係は以下の式で近似できる:
P ≈ C/y + F/(1 + y)ⁿ
ここで、Cはクーポン支払い、Fは額面、nは満期までの期間である。金利上昇によりyが上がると、新規債券の価格Pは下がるが、投資家にとっては高い利回りで投資できるメリットがある。
理論的には、株式の適正価格Pは将来の配当Dを現在の金利rで割り引いた現在価値の総和で表される:
P = Σ(t=1→∞) Dₜ/(1 + r)ᵗ
金利rの上昇は、短期的には株価を下げる要因となるが、長期的には企業の収益力向上を通じて配当Dの増加につながる可能性がある。
金利上昇はマネーサプライMの増加を抑制し、物価水準Pの上昇を抑える。貨幣数量説によれば:
MV = PY
ここで、Vは貨幣の流通速度、Yは実質GDPである。金利上昇によりMの増加が抑制されれば、Pの上昇も抑制される。
金利平価説によれば、2国間の金利差は為替レートの変化率に反映される:
(1 + rᵈ) = (1 + rᶠ) × F/S
ここで、rᵈは自国金利、rᶠは外国金利、Sは直物為替レート、Fは先物為替レートである。自国の金利rᵈが上昇すれば、為替レートの安定化に寄与する。