2023-05-16

安産のお守り

むかしむかし、「笑っていいとも!」というバラエティ番組があった。

看板コーナーの「テレホンショッキング」は、毎回トークゲストを1組迎え次のゲスト電話で繋いでいくという趣旨のコーナーだ。

このコーナーのゲスト若い女性の時には、タモリは決まって、ゲストの眼前で手元のメモ用紙にサラサラと何かを描き、それを「安産のお守り」と称して手渡していた。

描いている途中から女性ゲストはそれを見てクスクス笑ったりモジモジしたり、苦笑したり目を見開いたり、各者各様の反応を見せた。

 

タモリメモ用紙に描いていたのは、「女陰」の落書きである

二重丸にそれを貫く垂直の線一本、そして周囲に放射状の線を何本か、という、ポピュラーな「お●●んこマーク」だ。

タモリの手元をよく見ていると、手の動きでそれを描いていることが視聴者でもはっきりわかることがあった)

 

まり下ネタ・艶笑のたぐいなのであるが、それとともに、平日の真っ昼間という時間帯に生放送公然メモの受け渡しが行われていたという事実重要である

出演者に対するセクハラにはそれほど厳しくなかった当時にあっても、「お●●んこマーク」は放送コード(各社の禁止規則自主規制)にはしっかりと抵触していた。タブーだったのである。そのまま画面に投影すれば放送事故である

タモリゲストスタッフも、観覧客も視聴者も、そこで何が行われているかはわかっていて、笑う。全員を共犯者にする大人冗談なのである

「こんな真っ昼間に生放送で堂々と、放送してはいけないようなスケベな悪ふざけをしているけど、画面には映ってないからセーフだろ?」

そんなスリル背徳、そして反骨心。これがタモリという「芸人」の芸風だったんだろうと思う。

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