シアトルの高校に1年半通ってた。当時その高校にはアジア系は何人かいるけど東アジア系はいなかった。今は中国系の生徒がかなり増えてると思うが。
当初友達がいなくて基本一人で過ごしていた。挨拶すれば返ってくるし、大多数は普通に接してくれる。けれどまあ人を揶揄うのが好きな奴がいるわけだ。アメリカのいじめっ子は基本的にいじめられっ子を無視しない。積極的にいじめる。最初は吊り目のジェスチャーをされたり、教科書を投げられるくらいだから無視してた。いじめ集団がいなくなると比較的大人しい男女が「気にするなよ」みたいな感じで言ってくる。
ある日カフェテリアで一人でご飯を食べてると、いつもの白人四人組が来て俺のトレーをひっくり返した。宙を舞うマッシュポテトとベーコンとスクランブルエッグ。その時たまたまイライラしていたのもあって、ひっくり返した奴を思い切り殴りつけて背負い投げした。柔道は小学生の時に習ってただけだけど、向こうの背が高かったから投げやすかった。そして「Are you fucking kidding me? I’m gonna fucking kill you!」みたいな感じで喚いた。やり返してくるかと思ったけど向こうは「sorry!sorry!」と繰り返して去って行った。
そのあと冷静になり、これは嫌われたかな、とショックを受けていたんだけど、その逆だった。次の日からみんな向こうから挨拶してくれる。人目を気にしながら話しかけてくれてた大人しい男女たちも明るく話しかけてくれるようになった。いじめっ子の奴らも何事もなかったかのように「週末にDanの両親がいないからパーティーをやる。来ないか?」みたいに絡んでくる。その後の生活は比較的平和だったが、よくわからない国だなと思った。