生まれて初めてハッテン場というところに行った
自覚があるんだかないんだかはっきりしない人生、何事も経験と思って行った
建物に入るまでがどきどき、入ってからも不審者みたいな動きで、見るからにやばかったかもしれない
いろんな人の視線を感じるけどすぐそらされた
すれ違う時も大きく避けてくれる
なんか思ってたんと違う
体洗ってサウナに入っても同じ
むしろあっという間に人がいなくなる
これは自分は求められてないやつだ
でもなんだかお金ももったいないし、けしからんことにはならないならと思ってそこから先は社会見学に変更
いろんな人がいろんなことをしているところに行っては「わーほんとにそういうとこに来てるんだなー」と軽く感動し、「わーほんとに俺場違いなんだなー」と思い、「こりゃ2回目はないなー」と悟り、けしからん行為を目の前で見てた
普段の生活でも全く相手にされないのに、けしからんところに来てモテるわけがない
見たことの真似をして、超勇気を出して良さげな人のお尻を触ってみるもあっけなくガードされたり振り払われたり
まさかこんなところに来てまで「俺死ぬまでぼっちなんだ」と悲しくなると思わなかった
小一時間いたらなんだかもういいやって思ったので高い銭湯代だと思ったが退散することにした
元の服に着替えて出ようとしたとき、これから一戦交えるらしきアニキとすれ違った
うまくすれ違えなくて邪魔したみたいになって「ごめんなさい」と言った
アニキは「お、悪いな」といって自分の脇をするりと抜けて行った
もうちょっと早くに来てくれたらと思ったりもしたが、服着てマスクしてたから誤魔化せただけで、裸だったらやっぱり一瞥すらしてもらえなかっただろう
ただそれが唯一の成果で、アニキの笑顔のあまりの素敵さになんだか満足してしまった
ありがとうハッテン場
俺には縁のない場所だった