就職まではよかった。進学を機に一人暮らしを開始しそのまま都内に就職したのである程度の距離が取れていたし、両親としても地方の片田舎から東京に行って働いて頑張ってる子、と思えてもらってたと思う。給料も同じ年代の平均年収よりかなり高く、何かあってもしばらく生きていけるよう貯金もしている。
昨年30歳を迎えたあたりで雲行きが怪しくなった。友人とこういうことをして遊んだという話をすると「どうしてその人たちに誰か紹介してもらわないの?」と言われるようになった。洋画を見ていると「あなたは海外に行ってハーフの子を産んでくれると思ってたのに」と言われるようになった。「子育てを失敗した」とも言われた。「私は結婚しないと思う」と告げると、「まだわからない」と否定された。色々なことの枕詞に「あなたは一人なんだから」と付けられるようになった。「どうして3人も産んだのに私には孫が1人しかいないの」と泣いて責められた。おそらく多くの女性が経験した事のあることだと思う。だけど、以前まで休みを取って飛行機に乗ってわくわく帰っていた実家が、ただのんびり仕事の疲れを癒すことが出来た実家が、今は必要最低限しか帰りたくない場所になってしまった。そして、両親が普段連絡も取りたくない存在になってしまったのは単純に悲しい。両親は結婚を最重視しているため、両親の中の私が「東京で頑張っている子」から「結婚できない可哀想な子」となってることが辛い。世の中で独身のまま仲良くしている親子が心底羨ましい。私がこのまま結婚せず生き続けるほど、両親は私を責めるか、哀れみ続けるのだろうか。そんな人生になるくらいなら両親より先に死にたい。他の兄妹は結婚している。彼らが理想の子なら、失敗した子はいてもいなくても変わらないんじゃないか。