俺は増田を読む。たまにブックマークもする。ただ昔ほどの熱量はない。RSSフィードを読み終わって、ニコ動をチェックして、それでもすることがなくなったら増田を読む。面白い増田もあるが、たいていは既視感に満ちている。なんかどっかで聞いたような話をしているのだ。
以前は増田を全部読んでいた。増田が書き込まれるスピードよりも早く読んでしまえばよいのである。増田がスマホ対応する前の時代、全部の増田に目を通すというのはそこまで難しいことではなかった。実際自分以外にも全読してるブクマカが数人居たと記憶している。なにが目的で増田全読していたのか、今は思い出せない。確かなのは、その頃自分は相当に寂しかったということ。単身上洛したはいいものの大学にはついていけず、昼と夜が逆の暮らしを続けて、そんなときの増田は救いとなった。深夜には死にたい人間が長文を連ねる。お昼は仕事サボりのリーマンが暇つぶしで色々くだらないレスバトルを続ける。
増田には全てがあった。バカもいれば頭のいい人も居て、機知に富んだ返しをする人が居れば、いつも同じレスをする人が居た。他の匿名空間に比べて、あまりにも脈略がなかった。それがよかった。星を眺めたり、車窓から見える一軒家の数を数えたりするのと同じ効果を期待して、増田を全読していた。自分がいかに取るに足らない存在かを確認したかったのかもしれない。あの頃の自分は自意識が肥大しきっていたので、なんでもシリアスに捉えすぎて勝手に辛くなっていた。そこから逃げ出すためには、自分のちっぽけさを知る必要があった。
それはもう、増田自身がどこかで聞いたような人生を歩み出してしまったからだろう。
悩み相談、愚痴関係にはマッハで悪態ついてくる人とかいるよね。