2022-03-13

動物園「肉食より草食獣のほうが事故起きる」なぜ

シマウマの蹴りは肉食獣を撃退することもある(写真:Dziewul/PIXTA

動物園飼育されている動物は野生より安全と思われがちですが、飼育員や獣医などはつねに危険と隣り合わせです。また、旭山動物園園長小菅正夫氏は、「動物園事故初心者ベテランが起こすことが多い」「肉食獣より草食獣のほうが事故は起きやすい」と言います。いったいなぜでしょうか。

獣医でもあり、『角川の集める図鑑GET!  危険生物』の哺乳類鳥類部分を担当した小菅氏が、国内外でヒヤリとした自身体験談を語ります

写真コンゴで遭遇したゴリラ

■一生のうちでいちばん長く感じた2~3分

 動物園で働いていた間、さまざまな動物危険な側面を目の当たりにしました。特に自分獣医だったので、動物たちを診療する際に、ひやりとすることが多かったです。動物園獣医はもちろん、大きくて力の強い、肉食獣だって診なくてはなりません。

 自分旭山動物園に入ってすぐ、ホッキョクグマ治療することになりました。もちろん檻に入る前に、麻酔を打ちます麻酔が効いて倒れて、もう大丈夫だなと確認をとって中に入ったのですが、治療を終えようとした頃、なんと眠ったはずのクマが起き上がるではないですか!  突然のことですごく慌てました。

 「やばい!」と思い、いちばん安全なところはどこかと思って、そうだクマ背中に乗ってしまえば、抱きつかれないと思い、そっと背中にしがみつきました。クマ朦朧としていて、体をゆっくりと左右に揺らしていました。2歳の若いホッキョクグマだったのですが、当時の自分が乗れるくらいの大きさはあったんです。

 クマ背中必死にしがみつきながら、外にいる人に「追加の麻酔薬をとってきてくれ!」と叫びました。動物園使用する麻酔薬は、最初から液体ではなくて、動物の大きさに合わせてその都度溶かさなくてはなりません。実際は2~3分だったと思うのですが、クマ背中で待つその時間の長いこと……。一生のうちでいちばん長く感じた2~3分でした。

https://toyokeizai.net/articles/-/535063

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