2021-10-11

同窓生が死んだとき空気

高校とき、一個下の、話したこともなければ顔すら見たことない人が、急な発作で死んだことがあった

べつに特別顔が広かったり生徒会長だったりするわけでもない、普通にバレー部か何かに所属していて、普通に同学年の友達と仲良くしているような人だった、らしい

なので、俺たちの学年には基本的関係なかった

学校が同じとはいえ顔も知らねえ、声も知らねえ、名前も知らねえ、完全に他人と言っていい

同じ部活の人なんかはまた話が違うんだろうけど、クラスの大部分にとってはまあどうでもいい、知らん人だった

でも、朝、訃報担任が伝えたときから明らかに空気がヤバかった

休み時間、いつもはうるさいのに、なぜかみんな囁くような声で話したり黙ったりで、妙に静かだった

生前(生前!)親交があったらしい女子が集まって、泣いてんのかなんなのかわかんないが、人だかりを構成しているのを遠目に見て、なにもコメントできないので、俺は黙っていた

休みが終わって掃除時間、俺はそのとき花壇の草取り係だったので、ペアのやつと一緒に外に出た

よく晴れていて、車の通る音なんかも聞こえるんで、教室よりはずいぶん開放感があったし、周りに人があんまりいなかったので、ようやく異様な重苦しさから解放された感じがした

ペアのやつが、ひきつった笑いを浮かべて「今日雰囲気ヤバすぎるだろ!」と言ってきたのに深く同意したあと、「お前なんとかしろって〜!」なんて言い合って、すこしでも気を紛らわせようとした

そういう記憶があります

あれはなんというか、すごかったな

健康若い人間の突然死ってすごいぜ

あれが「喪」なのかもしれないな、と思う

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