最初に書いておくが、この女優はエロという意味で完璧というわけではない。
もっと言うと、「虚構であるセクシー女優性を完璧に演出した」と言う意味で完璧な女優である。
デビュー前には「元宝ジェンヌだったが圧力でAVデビューできなかったあの大物らしい」といろいろ噂になった。
森の中にたたずむ後ろ姿しか見えない写真だけがAVデビュー前に出回った。
デビュー時には森の中で裸足で突っ立っており、こちらを振り向く演出でデビューする。
音楽も聞いて欲しい。某クラシックの音程を少しずらした「申し訳程度でジャスラックに引っかからないようにした」音楽である。
インタビューに答え出す。
「177cmで男っぽい感じだが、女の子な感じに憧れる」なんだか、とってつけたような話である。デビューはそこそこのインタビューでエッチして終わり。
そして、数本挟んで、引退作。
引退作までに整形でもしたのかと言うくらい可愛くなる。
「デビュー作で中出しか顔出しか迷って中出し」の演出があるのだが、その時に中に出して欲しかったんだと訴える。
森の中で裸足でたたずむ。
音楽はやはり、某クラシックを少しぶつ切りにして繋げた申し訳程度のジャスラック除け音楽。
「私は素直で魅力的な女性になりたい」
と終わる。
見た目が圧倒的に変化するのが見ものだが、
とってつけたような理由、とってつけたような音楽、とってつけたような自己解釈。
自分の人生を必死に盛り上げて、肯定しているが、それがツギハギだらけでも、
そんな人生でも肯定できるように明るく作る姿に、人間の強さを感じる。
顔だけでいえば完璧とは程遠いが、引退作の彼女の顔はまさに「完璧なセクシー女優」であった。
これほど完成度の高い「女優業」を私は知らない。
人間が本気になっても、なかなかここには到達しない。