赤ちゃんとの遊びって賽の河原で鬼に石をつまされるみたいなものが多い。
「チュミキ、チュミキ(ここにある積み木全部積め)」と言うからそのようにすると「バァーンw」となぎ倒すし、「ぱーしー。クチュテクチュテ〜(トーマスと貨車を連結しろ)」と言うから繋げてやると「ん!wぱーしだww(お、トーマス繋がったなw)ガチャン。アーーー!?!クチュテ〜クチュテ〜!!(ちょっと触っただけなのにもう外れた。またくっつけろ!怒)」と何度も連結させられる。
まあ要は赤ちゃんが気持ちよく破壊するためのお膳立てをしてやるということだ。
今日も今日とて砂場でのこと。家から持ってきた砂場セットにはバケツとザルと型抜きしか入っていなかった。スコップはどうした。仕方ないのでとりあえず型抜きで何か作ってあげることにした。「ほら赤ちゃん、ここにお魚作ったよ。見てごらん。」「アシャカナ。」秒で泥の魚が赤ちゃんの掌に押しつぶされていく。にゅうーんって感じで。全然それはいい。想定の範囲だから。むしろどんどん魚を作って押し潰させてやろうという気持ちになった。
近くにちょうどよい泥山があったのでそこから泥を調達しぎゅぎゅっと型に押し込んだ。赤ちゃんの破壊するスピードにお魚さんを生産するスピードが負けてはいけないので、急いで型に泥を充填しパァン!と地面に叩きつけるのを繰り返した。そうして出来上がるやいなや赤ちゃんの掌にゅーんと押し潰されていくお魚さんたち。ここで型を"バイキンマン"にチェンジ、さらに猛烈な勢いで型抜きしまくる。「アッ?!バイキンマーンwwwブヂュ(潰)」変わり種に赤ちゃんも嬉しそうだ。私は一心不乱に型抜きしまくり、周りには30個ほどのバイキンマンの顔ができあがっていた。しかしその頃赤ちゃんはもう型潰しに飽きていて、夫が一度家に帰って持ってきてくれたスコップで穴を放っていた。だが型抜きに魂を奪われてしまっていた私は気づけば次の型に手を出してしまっていた。砂場にアンパンマンの新しい顔が整然と並んでいく。泥が苦手なアンパンマンの顔が泥で作られるなんて皮肉ではないか。
後ろにいた他所の子供が「アンパンマン、なんでいっぱいあるのー?」と自分のお父さんに聞く声が聞こえた。お父さんはその声を無視していた。
結局、アンパンマン型抜きチャレンジは長女が「ママおしっこに行きたい」と言ったところでストップした。私は長女をトイレに連れていくので赤ちゃんと次女を見ていてと夫に頼み砂場から離れた。
おしっこから砂場へ帰ってくると別の家族がなだらかな美しい山を作っていて、何十個とあったアンパンマンの顔はどこにも残って無かった。だけど私は「それでいいんだ」と思った。
3人も育てて偉い!
エントロピー増大は万物の宿命である 幼児を通じて真理を学ぶのだ
将棋倒しも教えよう。 おなじ破壊でもこんなに芸術的なやつがあるのかっ! などと感動してもらえるぞ。
赤ちゃんを赤ちゃんと呼んでるのが気になる。なぜ?
普段の穴を掘っては埋めるような仕事も赤ん坊に命令されれば苦でなくなるのだろうか
せやな