2020-11-13

珈琲の違い

中学生の頃に、仲良くなったクラスメイトがいた。Aちゃんと呼ばせてもらう。

Aちゃんと私は趣味が近くて、お互い小説を読むのが好きだった。買った本の貸し借りなんかもしていて、借りた本の感想手紙なんかもやりとりするくらいだった。

ある日、Aちゃんの家に誘われた。ある小説ゲーム化したのを買ったから、一緒にプレイしようって話だった。

Aちゃんの家は適度にさっぱりしていて、暮らしやすそうなお部屋だった。そこで私がキョロキョロしていると、Aちゃん飲み物コーヒーでいいかと尋ねてきた。私はコーヒーが好きだったので、ありがたく了承した。

じゃあちょっと待ってて、とAちゃんキッチンに入っていくと、ガリガリという大きな音と、コーヒーのいい香りがしてきた。その音は何かを削っているかのような音で、何が起きたかからなかった私は無作法にもキッチン踏み込み大丈夫?とAちゃんに声をかけていた。

一方のAちゃんはキョトンとした顔で、大丈夫って何が?と訊き返してきた。彼女の手元には、鉄で出来た砂時計みたいな道具があった。

私はその日初めてコーヒーミルというもの存在を知ったのだ。

彼女が豆を挽くところから煎れてくれたコーヒーは、とても美味しかった。

と同時に、私は彼女との間に壁を感じた。

私はコーヒーというと、マグカップに細かいチップ状の素を放り込んで、直接お湯で溶かして作るものしか知らなかった。

一方で彼女はそういうコーヒーの事を知らなさそうだった。

私がコーヒーを飲んでいる間に、「豆から出すコーヒーは初めて飲んだよ、美味しいね」と言うと、Aちゃんは「今まで缶コーヒーしか飲んだことなかったの?」と訊いてきたので、「いや、ウチのコーヒーは直接お湯を注ぐヤツだからさぁ」と答えたら、なんかよくわからない様な顔をされてしまたからだ。

から、ああ、壁がある、って思った。

たぶん、この暮らしやすそうな家の調度品とか、彼女は塾に通わせてもらえるとか、そういうのを支える根底が何か違うんだな、って思ってしまった。

その日から私は、Aちゃんから少しずつフェードアウトしていった。彼女は何も悪くない。悪いのは、醜い嫉妬心を持つ私だ。

でも、あのコーヒーの味が感じさせた壁を目にして、それでも笑ってられる強さはなかった。

そして、その嫉妬心中学校卒業してだいぶ経つのにまだ燻っている。

こんな感情あの日ゲームみたいにリセットできたらいいのにな。本当に。

  • 初めて存在を知ったわりにコーヒーミルについての確固たるイメージはあるんだな。

  • たかがコーヒーでは豊かさの指標にならない 昭和時代から豆は高価じゃなかったから

  • トラバがついたのが12時間後。ブクマはそこそこついているにも関わらず。

  • これが、良くバズる文化資本だな。東京・大阪などの中高一貫校と地方の公立高校出身者との違いだよな。

  • >その日から私は、Aちゃんから少しずつフェードアウトしていった。 ・・・まーたこーゆー流れかよ。んったく、だから何なんだ?っつうよー?

  • 色んなコーヒーの淹れ方があるんだな、ではなくインスタントを反射で恥ずかしいと感じる不思議。幼くてもピンクは女の子の色だと思うのと似たものを感じる。 出汁をちゃんと取ると...

  • 一杯の単価で見たら缶コーヒーのが高かったりする。それにしても街中の喫茶店そんな美味しくないのに500円取るとこ多いよなぁ

  • なんでそこで好奇心に変わらんかったんやろ 普通そこからやり方教えてもらったりミルの値段聞いたり豆の値段とか失敗したあまり貰ったり色々聞くやろ

  • コーヒーミルなんて安いしコーヒー豆もそんな高くないのに壁というほどの差ではないだろう。

    • 高くてまずいインスタントを買い続けて激安豆の手挽きを「贅沢だなぁ」と羨む、そのすべてが貧乏

    • コーヒーミル不衛生そうで嫌い 気で出来ていて水洗いできないタイプは大嫌い

    • 豆の値段よりも煎りたてかどうかが肝要だよな。 煎りたては煎ってる最中からもう香り高すぎて優勝している。

  • うわキモっ 増田から出てけよ

  • それから10年。 Aちゃん「このラーメンおいしいね」 増田「野飼いの烏骨鶏とアグーのトンコツで20時間も煮たからね。ネギは半世紀農薬未使用畑の下仁田ネギよ」 増田の目にはうっす...

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