こうすれば防げたとあとから言うのは誰でもできるが、問題点がある。
そこには「けっこうな人間が馬鹿である」という前提が抜けている。
何のことかと言えば、「これだけ手洗いをしろ」と言われてるのにトイレに入って手を洗わずに、そのまま外に出ていく人間が腐るほどいることを、専門家ほど気づかない。
例えば、人前でゴホンゴホンゴホンゴホンと咳を10分以上連発し、さすがに「マスクを使ってください」となけなしのマスクを差し出したら「悪いですよ。大丈夫です」という人間だって普通に居るのだ。
さらには、38℃の熱があっても、平然と集団の中に紛れ込み、旅行に行ってしまう人も結構いるのだ。
隔離した部屋に居れたにもかかわらず、堂々と仲間内で狭い部屋に勝手に集まって酒を飲んで騒がれたらどうしようもないのである。
新興宗教に至っては、検査を拒否し、集団で集まっては大声で叫びまくり、数百人を感染させた後、散り散りになって逃げるという謎の行動を取りだす。
こういう「大馬鹿野郎どもが紛れ込む」ことを前提にすると、「なぜベストな対策を取らないのか?」というのは基本的に無意味になる。
「そこまでバカな野郎がいることを前提にすると、ベストな対策は、実際にはベストではない」ということになるのだ。
机上の専門家ほど、「相手には大馬鹿が混じっていて、信じられない行動を取る」ということが計算に入っておらず、自分のいうことを相手は100%聴いてくれるだろうと思い込む。