先日、大学の課題レポートで必要だった為、母方の祖父に自分の人生史というものを紙に書いて写真に撮って送ってほしい、と頼んだ。
私は地元から上京し、一人暮らしをしているため、LINEで母に伝えた。
私が想像していたのは
といった簡潔的なものであったが、母から送られてきたのは、ビッシリと文字で埋められたノート数枚分の写真であった。
どうやら母が昔レポートを書いた際に、祖父が自分の人生史について既に書いていたらしい。
「もっと簡単なものでも良かったんだけどな」と思いながらも、祖父の人生史を読むのはとてもワクワクした。何故なら私は祖父の人生をあまりよく知らないからだ。
私が知っていることは、「手に職をつけていて、もう85歳を超えるのにまだ現役で働いていること」や「パチンコやタバコ、お酒が好きであること」くらいしかない。
小さい頃は、祖父と遊んだり一緒に出かけたこともあったが、小学校高学年くらいからはめったに関わることがなくなっていった。
また、祖父は見た目がかなり…と言っていいのか分からないが、みすぼらしい。祖父と祖母が住んでいる所は掃除があまり行き届いておらず、害虫が度々出現する。(私はこの害虫をひどく嫌っている為、あまり祖父達のいる所に行くことは無い)
どんなことが書いてあるんだろうか、と思いながら写真のノートを読んでみる。
内容は祖父の生まれた時から、結婚し子どもが生まれ、一家の父となるまで、記憶やその時感じたことを書き記しているものであった。
恐らく、祖父と何も関わりのない人が読んでも「ふーん、こんな人生だったのね」くらいにしか思わないだろう。
しかし、私は最後のページを読んでいる時には、涙が出てきそうになっていた。
何故泣きそうになったのか、自分でもよく分からない。ただ、自分は本当に祖父のことを知らなかったのだな、と悲しくなってしまった。(こう見えても、祖父からとても可愛がられて育ったのだ。なのに……)
祖父の人生は、特別な何かが起こっていた訳では無かったが、その文章の書き方から感じ取れる人柄や時々入る祖父の感情といったものから、一人の人間として今まで生きてきたことをしっかりと感じることが出来た。
祖父だけじゃなく父母や兄弟も、おそらく自分史を書かせて読んでみると、「こんな生き方をしてきたんだ」と初めて知ることが沢山あるのだと思う。