その本の紹介では、これは手塚なりの「悔しさをにじませながらの嫌み」だったんだというような書き方だったと思う。記号的お約束や映画的演出を二次元に落とし込む数々の手法を発明して日本のマンガ表現をリードしてきた御大としては、そういう「漫画的お約束」を廃して「リアルに描く」表現が、まるで「旧来の漫画家には描けなかったようなリアルな」マンガであるかのように評価されてる状況にカリカリきていて、それでそういう言い方になった部分があるんじゃないかと思う。
ただ、たぶんそうやって実際に手を動かして、いわば現場感覚で大友の作品を分析していた手塚には、大友の魅力が「それ(画のリアルさ)だけではない」ということももちろん分かっていただろうけど、そこはやっかみ半分釘刺し半分で、「絵がリアルだってだけでいい気になるんじゃねーぞ」という台詞を、本人に言ってやらなきゃ気が済まなかったんだろう。ほら、嫌みって、本人が密かに得意に思ってる部分をひっくり返したら一番刺さるでしょ?
まあ、個人的には、御大が若手の有望株に対して全力でライバル意識をむき出しにしてくる光景って好もしいし、何より、自分がその若手だったらそれはそれで驚くけど嬉しいというか、なんかそんな感じだから、このエピソード聞いて「手塚クズだなあ」とは別に思わないけどね。あと、手塚はそもそも自分のことを天才とも先駆者とも神様とも思ってなかったっぽいから、ほんとに心の底から単にライバルの一人としてめっちゃ小物臭く嫌みをかましただけかもしれないし、それはそれですごいと思ってしまうのは手塚贔屓が過ぎるんだろうかね? でも、まあそんな風に思うんだよ。
手塚が大友に「自分にもあなたの絵は描ける」と言った伝説。 https://togetter.com/li/1323842 …とかで話題になってるこの話、自分は1990年頃に、新書の後書きで読んだ記憶がある。 内容は 『...
パースが完璧で本人によるブレがないから真似しようと思えばできるって意図なのか?
その通りなんだけど、少しだけ説明が必要かな。 その本の紹介では、これは手塚なりの「悔しさをにじませながらの嫌み」だったんだというような書き方だったと思う。記号的お約束や...
終わった作家だって言われてた時期あるみたいだけどやっぱその辺りでこういうこと言い出してたんだろうか。 嫉妬や張り合いする性格はずっとか。
実際、晩年は悲しいくらいに時代から取り残されて「終わって」た、ってのも事実だったと思う。いや、「アドルフ」とかは別にええねんで? 少年マンガ週刊誌に連載とかって、当時...
でも、失踪日記にも書かれてるけど、ブラックジャックのヒットの前の時点で、秋田書店に手塚はオワコン陰口叩かれてたんだよな 出版勤めてると、編集が漫画家やライター、読者の悪...