無駄がなくテンポのいい展開、教育的になりすぎることなく南極という舞台を散りばめ、各キャラの葛藤と成長をまとめ上げた名作である。
いしづか監督以下製作スタッフには感謝の気持ちしかない。また新しい作品で感動を届けてほしい。
既に何百回も論考されたことを自分の言葉で書いてみたくなったので、下記は読み飛ばして構わない。
南極という行き先と閉鎖空間を舞台とすることで、各キャラの絡みや掘り下げを上手に演出できていたように思う。
では南極でなければならなかったのかという側面ではどうか。
もしかしたら同じような話をかけるのかもしれない。
しかし、南極という極地だからこそ、彼女たちの「別れ」への問題解決を後押しした側面はあるように感じた。
「よりもい」は「別れ」の物語だった。
日向や結月の旧友との別れ、報瀬の母との別れ、キマリとめぐみの別れ。もちろん、古い自分の価値観との別れの物語でもある。
「別れ」というのはエネルギーがいることだ。
南極渡航というジャイアントステップが彼女らに勇気を与え、異なる意見を戦わせるきっかけとなり、新しい認識が芽生え、「別れ」が成就した。
そんな風に捉えると、南極という極地は巧妙な場所だったように思う。
南米やアフリカは思っているより近くなり過ぎた。飛行機一つでいつでもたどり着くことができる。
我々がジャイアントステップを踏むためには、それだけエネルギーがいるとも言える。