一番最初に栗城君に会ったのは、変な噂のあとだったと思う。
初対面の女の子に次々とそこいらの石をプレゼントしている変な学生がいるって噂。
もう一つは地元の農作物を札幌の三越前で売りたいと教授たちに何度も熱心に相談に来る学生の噂。
その後学祭で、顧問をしてたDJサークルのブースでブレイクダンスサークルが踊るので段ボールを貼っていたら、
無関係のTシャツの男がたたっと来て、いきなりバックスピンを決めた。
歓声が上がった。
背中血だらけ。
タイガーマスクはそのままどこかに消えてしまったので、あの阿呆は誰だって聞いたらクリキだって言う。
ペンギンの求愛行動をやっているのも、三越前で農作物売っているのもみんなクリキだった。
あるとき、いきなり「マッキンリーに登りに行きますうふふ今入山許可願のメールを送るところなんですよ」と英文を見せられた。
ダメだこりゃ。
その後、「返事来ました~。入山許可下りましたうふふ」と嬉しそうに紙を持ってきて、
英語読めないのに何で許可だってわかるんだよって突っ込んだら、「NOTって字が文章にありません」ってえばっていた。
本当に入山許可だった。