同人イベントで渡される手紙やら感想やらは定期的にTwitterで話題に上がる。
そんなの見てると、思い出したことがあるので書いてみる。
五年くらい前かな。
同人始めて四年ほど経っていたが、私は感想の手紙をもらったことがなかった。
もちろんそんなに良くあることじゃないことはわかってた。自分の本が手紙書きたくなるほど魅力がなかったのかもしれない。
けど、私は手紙をもらうことにすごくすごく憧れていた。
だって私の本を買って、読んで、感想をわざわざ考えて手で書いてイベントで渡しに来てくれるなんて、同人誌出してて最高のご褒美だ。
時間と手間をかけて生み出される手紙に憧れてた。そんなパッションを引き出すような本が描きたいと思ってた。
他の作家さんがTwitterで「お手紙ありがとうございます」と呟いてるの見ると羨ましくてたまらなかった。
でも仕事始めて同人ペースも落ち始めた頃、もうこの夢が叶うことはないのかなと思ったんだよね。
だから実家帰った時、未練たらしく父親に「感想の手紙欲しかった…」と酒の肴にボソボソ話した。(父は全くオタクじゃないが私が逐一説明してるのでオタクや同人誌や腐女子やコミケの知識はある)
そしたら父は「お前はそんな文句言ってるけど、自分が手紙渡したことはあるのか」と言った。
私は「ある…。二回ほど。緊張で吐きそうだった」と答えた。
父は完全に予想外だったらしく、すごい勢いでこっち向きながら
「お前!!!!良くやったな!!それで充分じゃないか!それは、手紙をもらうことと同じかそれ以上に、価値があることだぞ」
と熱弁された。
その場は照れ隠しでフーーンと済ませたが、一人になった時少し泣いた。
ずっと憧れてた夢が、もう叶わないと思っていた夢が叶ったような、いや正確には叶ってないんだけど叶ったような気持ちになって幸せで幸せでたまらなかった。
それからは好きな作家さんに感想送ることにより喜びを見出すようになった。
今、同人がすごく楽しい。ありがとう父。ずっと言えてないけど還暦の時にでも言うね。
ちなみにこれは読み手に向かって「だから感想送ろうぜ!」という趣旨の書き込みではない。同人誌を好きでいることって、感想送るだけじゃなくて、静かに繰り返し読むとかエネルギーをもらって自分も本を出すとかいろんな形があるし。ただの自分語りです。
ちなみのちなみに、それから二年ほど経って私も初めて感想のお手紙を頂きました。
発狂するほど嬉しかったです!!!!本当にありがとうございました!!!!!!!!今でもしょっちゅう読み返してニヤニヤしています!!!!!!!
その手紙の送り主だけど、お前の親から金もらって頼まれたんだ。ワリワリ。
いいお父様じゃあないか…… 感動した!!!!!! いやーでも今日び、twitterとかでいいかなと思ってしまうね
メールやツイがあるこのご時世に手紙はハードルが高すぎる