「君の名は。」は名作だ。脅威的な興行収入を叩きだし、大人から子供までが映画館に向かった。結果的に2016年という年を象徴するような、国内から海外をも巻き込んだ社会現象にもなった。メディアは'宮崎駿の後継者'と新海監督を褒めそやし、関連商品が飛ぶように売れていった。
素晴らしいことだと思う。このブームは今の日本によくある、'大手メディアと大手広告2社の大人達'によって、予め社会的に意図として起こることが決められていたブームではないからだ。
もちろん新海誠監督にとって、一般的なネームバリューを獲得する本当の意味での出世作となるべく川村氏というプロデューサーと広告会社のバックアップにより作られた作品だったが、ここまでのヒットを誰が予想しただろう。これまで素晴らしい作品を作ってきた監督が、それにふさわしいヒット作と称賛を受け取ることができて、心から良かったと思っている。
星野源の作る曲や新海監督の映画がヒットしたというのは、私たちや名も無きクリエイターにとって大きな希望となるだろう。
現代の、特に日本という国のポップカルチャーという枠組みの中では、「本当の意味で'いい作品'というのは、そこまで売れない」という主張が一般的だ。
しかし、そんな醒めた常識を彼らは打ち砕いてくれた。私としては、この流れがこれからもなるべく続いてくれればいいなと思っている。
いずれにせよはっきりとしているのは、来るべき新海監督の新作が楽しみで仕方がないということ。
本当の意味で、富も名誉も手にしたであろう稀代のアニメーション映画監督は、次にどんな世界を私たちに観せてくれるのだろうか。