最近、何かにつけ、友人たちと話していても、「今の世の中はつまらない」「テレビを見てもネットを見ても音楽を聴いても、もちろん政治や経済にしても、全く何をやっても、面白い話題、面白いコンテンツが何処にもない」という話が増えた。
誰と話をしても、驚くほどそんな声ばかりが聞こえてくる。
しかしそれにしても、じゃあどうしてこんなに今の世の中は、何もかもがつまらなくなったのか、何故みんなそう思うのか、みんな一様に「つまらない、面白くない」と言うが、それは単に我々が年を食って老害化してきたせいではないのか、そもそも本当に今の世の中はつまらないものばかりなのか、じゃあ逆に昔はそこまで面白いものばかりだったのか・・・。
そんなことを考えているうちに、ふと考えついた。
何故そんなことになったのかと理由を考えてみるに、それは、
「『弱い者が強いものを、あの手この手でやり込める』という空気がすっかり廃れてしまったせいではないか」
ということに、ふと考えが至ったのだ。
「反骨精神」と言えば少し大げさかも知れない。
「口先では立派な正論を言い、権威を振りかざして弱い者に押し付けながら、裏では卑劣なことや不正、悪いことを平然と行う、そんな偉くて強い者を、弱い者が反抗してやっつけようじゃないか」
という空気や風潮が、それなりにあったような気がする。
決して昔でもそのような風潮が強かったわけではない(むしろ圧倒的少数派だったと思う)けど、いつの頃からか、それがどんどん少なくなっていった。
そして今は何処を見渡しても、
「強い者が弱い者に、権威と力を振りかざしてもっともらしい正論を上から目線で押しつける」
「強い者は正しい。偉い者は何をやってもいい。弱い者は悪い。何をやっても許してもらえない。悔しかったら強くなれ」
「強い者が弱者面をして、『弱者こそが権威を振りかざし押しつけている悪い奴らなのです!』と主張する」
「弱い者は強い者には逆らえない。弱い者は団結できない。何をやっても無駄。あきらめるしかない。という諦念ばかりをひたすら説く」
「強い者は何をやっても勝つ。弱い者は何をやっても勝てない」
という風潮ばかりが強くなっていった。
ネットもそう、テレビもそう、スポーツもそう、他のいろいろな文化もそう、そして政治や経済の世界もそうなってしまった。
「強い者が弱い者に、あの手この手でやり込められる」という光景を、フィクションの中も含めて、自分はもう何年も長いこと見ていないような気がする。
なるほど、これでは世の中が面白くなるはずもない。