それからしばらく経っても、俺の頭の中はゴールの居場所のことでいっぱいだった。
ハテナは頭の中で日が経つほど増えて、貯まる一方なのに減りゃしない。
けど、そのモヤモヤを払拭する方法が何かってことに関してだけ言えば、既に答えは出ていた。
俺は意を決して兄に宣言をする。
「あのジョウって人に従うようで癪だけど、やっぱり自分でゴールを探してみるよ!」
「そうか、頑張れよ」
やや強めの口調で、自分は付き合うつもりがないことを暗に示している。
「真実を探求したくはないの?」
学校の課題もこれ見よがしにやっている様子を見せ、「そんな暇はない」と俺に理解させた。
その状態のときに下手な関わり方をするのは危険であることも俺は知っている。
兄貴は温厚だが、万が一キレたら大変なことになる。
「あー……よく分かんないけど、課題頑張ってね」
なので、そう言うしかなかった。
俺には気になってしょうがないテーマだったが、兄貴にとってはどうでもいいことだったんだろうな。
兄貴なしで今回のミッションを遂行できるかは不安だったが、それでも俺はこの衝動を抑えることはできなかった。
「結婚はゴールじゃないらしい」
「ああ、そういうこと言う人いるね」
「でも、ゴールがどこにあるかは答えてくれないんだ」
「それ……その人もよく分かっていなくて、だから体よく誤魔化しただけじゃ……」
「いや、それだと辻褄が合わない。ゴールがどこにあるか分からないなら、結婚がゴールだっていう可能性も捨てきれなくなるだろ」
「なるほど、その人が結婚はゴールじゃないと断言した以上、少なくとも何らかの目安はあるはずだよね」
「つまりゴールを隠しているんだ」
「なぜホワイ?」
「僕たちにも関係していることかもしれないだろうし、知っておきたいかな」
「よし、ゴールを探そう!」
こうして俺はゴールを探す冒険に仲間たちと出かける。
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