何年か前の話。
そこはそんなに偏差値が高いわけでもなく、東京にあるわけでもないので当たり前だが、
日本の権威みたいな偉い教授やメディアに出るような有名な先生もおらず、棒読みでレジュメを読み上げるような講義ばかりで退屈だった。
そんな中で、僕は自然科学系のある先生の講義だけは好きだった。彼は授業がうまく、学生を飽きさせないように工夫していた。指定教科書は彼自身の著書だったのだが、上手く纏まっていて、一冊の読み物としても面白く感じた。
授業も終盤に差し掛かったある日、友達から「あの先生、ヤバい人らしいよ」と聞いた。気になって名前で検索してみると、出るわ出るわ…。疑似科学批判クラスタの槍玉に上がる○○を信じていて、自ら活動も行っているとの事だった。
教科書を読み返すと、確かに最後の方で唐突に現代科学に批判的な内容があって、なるほど…と思った。
でも、僕が知る限りでは、講義で扱っていた内容自体は正統な学問の範囲だったと思うんだよなあ。
先生の持つ自然科学の知識と疑似科学はいったいどういう形で繋がっているんだろうか?
僕よりも遥かに学識がある先生が肯定する疑似科学を「みんながおかしいと言っているから」否定するのってそれはそれで盲信なんじゃないのか?
そもそも、僕が教わったことの中にも疑似科学的なものが紛れ込んでいたのか…?
そんなことをいまだに考えてしまう。