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2023-03-20

「何って……自分プログラム修正して修正内容を文章でまとめただけだが?」

周囲に笑いが巻き起こった。

この時代にわざわざプログラミング自分で、あまつさえその解説文さえも自分で打とうとする人間がいるのだから

「君ねえ……そんなのAIちょっと命令すれば数秒で終わる仕事じゃないか

呆れて物も言えないながらも、物を知らぬものに何も言わねば変わらぬのだから仕方ない。

そんな気持ちが声の調子から目線から口元からとそこかしこから漏れ出ていた。

「それじゃあどうして僕が来るまで終わらなかったんですか?」

相手の態度を気にもとめずに増田はそう返した。

「まあAIと言っても万能ではないからな。適切な命令文をこっちで考えてやる必要があるし、若干ガチャの要素があるから上手くいっているかは実際に動かさないと分からないじゃないかそもs」

そもそもも何もこれぐらいのコードなら動かさないでも挙動ぐらいは分かりますし、こんな分かりやすバグだったらガチャらずに直接直したほうが早いでしょう?」

増田相手言葉が言い終わるより前に言葉を被せていく。

プログラマー定義が『AIプログラミングの指示を出す人』という意味に取り変わったこ時代にこんな言葉を聞くなんて誰も思っていなかった。

だが、偶然かペテンか、結果だけを見れば増田の言う通りなのだ

あっ、駄目だ。

メンドクセ。

残りはAIに書かせよ。

「それにさっき言ってましたよね?AIには任せられない理由があるって。つまりAIだと時間がかかりすぎるんですよね?だってAIですもんね」

「うっ……」

かにそうだ。この程度の作業ならAIに任せても1分もあれば十分だ。

しかし今ここでそれを認めてしまうことは増田の主張を認めることになるのだ。

増田の言っていることは正しい。

だが相手が認めるかどうかは別の話である

「いや、しかしだな……」

反論しようと言葉を探している男だったが、それを遮るようにして彼は言った。

「あの、すみませんちょっといいですか?」

それは今まで黙っていた女性の声であった。

「えっと、どちら様かな?」

男は少し困惑しながら訊いた。

彼女白衣を着ており、一見すると研究者に見える。

しか彼女の顔には見覚えがなかった。

研究所にいる人間は全員把握しているはずなのに。

「私は新藤恵美といいます。一応ここでは研究主任を任されています

研究主任……ああ、新しい研究員の方ですね」

男が納得すると同時に、増田が嬉しそうな顔をしていた。

どうやら増田彼女が気に入ったようだ。

「それで、何か用かね?」



あっ……駄目だ……話の趣旨理解していない……。

AIなんぞに頼っててもデタラメガチャ必死に回し続けるだけになるよねって話はしたけど、本当にAIにそれやられると困ってしまうな……。

いやでもこれでいいのか?

なんなんこの落語みたいなオチは?

星新一なの?

俺はエヌ氏じゃなくて増田なんだけど?

 
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