2020-11-24

ゴーン拘禁違法性についての国連作業部会の指摘について

日本政府中世すぎる。恥ずかしい。

国連の「恣意的拘禁に関する作業部会」に、ゴーンの4度に渡る逮捕長期間拘留違法だという訴えが持ち込まれました。「訴えによると、拘置所内では食事不定期的にしか取れず、ゴーン氏はかなり痩せてしまったとのことです。」みたいな鼻で笑っちゃう訴えもありますが、おおむね正当だとおもいます。同じような容疑で繰り返し再逮捕されて拘束期間が延ばされたとか、読めない日本語供述調書を、その場での口頭の翻訳を聞かされれただけでサイン強制されて、拒むと拘束期間が延びることをほのめかされたとか、自分弁護士相談できるのは平日の昼間だけなのに、取り調べは夜とか週末とか祝日とか弁護士相談できない時間にやられるとか、保釈中も弁護士経由でないと妻に連絡を取ってはならないなんて保釈じゃなくて在宅逮捕だ、とか、まあ近代国家はやっちゃダメだよねって思います

この訴えについて、国連日本政府説明を求めたところ、二か月後に

法律に基づき、個々の事件についてはコメントできない。ただ、一般日本では、逮捕後の拘束期間は裁判所の厳しい監督下にある。

という回答が返ってきました。

国連部会激おこで次のように述べています

日本代用監獄問題について部会が以前に述べたように、法律によって説明できないという主張は十分ではない。この作業部会は、国連人権理事会の決議30.30に基づき、不当に拘束されている恐れがある被害者のために、世界中政府説明責任を求めるために存在している。したがって加盟国には、60日以内に可能な限り詳細な調査を行って部会に報告する義務がある。しかし、日本政府は、部会がこのような説明をしたのちにも、法律に基づき公判中の事件にはコメントできない、という主張を繰り返した。

一応補足しておきますが、国連から情報提供の依頼とその回答はとても重いものです。実際、大量破壊兵器の有無について国連からの問い合わせに十分な回答がなかった、という理由アメリカイラク政府転覆させています。また、自国法律自国が決められるので、「自国法律では説明できないか説明しないよ、ゴメンね」は、回答になっていません。大量破壊兵器の有無について聞かれたときに、「軍事機密から外国人に話すのは違法だよ、ゴメンね」で済まないの同じです。


こんなコメントされてるようでは、国連部会結論日本政府にとって有利になるはずがありません。部会は、ゴーンの国外逃走については評価批判もしないが、それとは独立に、逃走以前のゴーンの拘束が正当かどうかについて判定することは可能だと述べます。それどころか、ゴーンの国外脱出という事件があったからこそ、日本のdaiyo kangokuについての問題あらためて問われているし、部会として判断するのは適切だ、とまで言っています。その後、部会は、訴えは十分にもっともらしいので、訴えが正当かどうかの説明責任は日本政府にある、とします。

結論を述べるにあたって、国連部会

裁判前の拘束は、例外的ものであるべきで、その場合可能な限り短くすべきである

という国連人権規約引用します。そして、ゴーン氏のケースでは、保釈請求が繰り返し棄却された際に理由が述べられないため反論不可能なこと、および、繰り返し行われた逮捕から検察送致までの期間には制度保釈請求すら不可能な点を指摘し、ゴーン氏の長期拘束は法的な正当性がないと結論付け、ゴーン氏の取り扱いを直ちに改善するよう日本政府に求めています



正直、国連部会の主張はぐうの音もでない正論だと思う。それに引き換え、国連人権規約で、逃走の恐れが高い時の拘束は認められており、さらに実際に逃走されているのに、「拘置には法的な正当性がない」とか言われてる日本政府無能の極み。代用監獄続けるなら、せめてその正当性をまともに訴えるくらいしてくれ。ゴーンのケースはこんなにコテンパンにやられるほど日本政府が不利なケースではない。

原文は以下のURLで読めます

https://www.ohchr.org/_layouts/15/WopiFrame.aspx?sourcedoc=/Documents/Issues/Detention/Opinions/Session88/A_HRC_WGAD_2020_59_Advance_Edited_Version.pdf&action=default&DefaultItemOpen=1

  • ゴーンに限らず、例外なく不当だからなぁ。

    • ゴーンは結果としては不当じゃないんだよね。逃走の恐れがある容疑者の拘束は合法だから。それがまあ。

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