テレワーク中、地震もあったのでテレビを見ていたら、PCR検査の件で厚労相が相当たたかれていました。
コロナ担当の端くれから見ると、厚労相たたくのおかしくないか?という気がしたのでちょこっと。
というのも、2月の時点から、各保健所設置自治体には「新型コロナウイルス感染症に関する行政検査について(依頼)」(R2.2.17)の通知において、例の37.5度目安だけでなく、既に厚労省側は「感染が強く疑われる場合には柔軟に検査を行っていただきたい」と書いており、「 症状や新型コロナウイルス感染症患者の接触歴の有無など医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症と疑う者」は検査対象とするよう示しています。
その前段となる「「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第 12 条第1項及び第 14 条第2項に基づく届出の基準等について(一部改正)」に関する留意事項について」(R2.2.7)という通知では、「これまでも各自治体の判断で検査が行われていることと承知しているが、今後も、各自治体において新型コロナウイルス感染症を強く疑われる場合には、柔軟に検査を行っていただきたい旨、お知らせする」とあります。厚労省も含め、行政文書において「〜と承知しているが」と使うときは、大抵、「おまえら当然やっているよな?」的なニュアンスでありますので、これ以上ないぐらいに念押しをしているんです。
ただ、自治体レベルになると、未知の感染症を捌くほどのスペックを持った人間はまずいません(いたとしても全員ではない)。
通常業務でさえ、各市町村判断でできる事務について、県が基準を示せだの、国が基準を示せだのをいつも言うのが、自治体です。
このような場合は、県レベルで足並みそろえないと住民から苦情が来るというパターンが大半なのですが。
今回の場合も、問い合わせは山ほど来るし、その中では「ほんまにそうなのか?」みたいな問い合わせも多く来ます。(保健所にその自治体の自粛要請の状況まで質問が来ている状況です。)
それらを捌き、感染していない人だけで検査リソースをかけないようにするために、スクリーニングをするしかないのが実情です。
その中で、保健所の判断基準として、例の「37.5度目安」が出てくるわけです。そうすれば、膨大な問い合わせを受けることだけで良く、判断するリソースを割く必要はなくなるわけです。
これだけでも業務負荷が相当減ります。「37.5度以上の熱が4日でてから電話ください」で済むわけですから。
なので、大臣も「誤解」と言いたくなるのもしゃーないという気がします。クルーズ船がどうこう言っている状況からもう既にそれで国は動いていたわけですから。
結局、自治体にそれらを捌ききるリソースが全然ないのが実際のところです。
そういうわけで、マスメディアがもう少し丁寧に解説してくれたらと思うのですが、報道資料を体よくまとめて、専門でもないコメンテーターに解説させるわけですから、伝わるものも伝わらないです。
また、これに関連して通知が出てきて、特別職に書類を数部印刷し、必要なところをラインマーカーするみたいな業務が増えると思うと、なかなかだなぁと思います。
東京都の報告漏れも、愛知県の個人情報漏れも、どこの自治体もネットワーク分離でインターネットにつながっていない端末で、大阪みたいにシステムをすぐには入れられない(https://topics.cybozu.co.jp/news/2020/04/22-8794.html)ために、Excel・ファックスで事務処理をなんとかするのが現場です。
そのほかにも、検査数を増やせだのと言っても、ロジ回り一切抜きにして話すわけですから、ワイドショーもお気楽だなとしみじみ思います。
いや、機械があったって、感染症を起こすウイルスを安全に扱える人が何人いるんだ、体調の悪い人間をどう検査まで持って行くんだ、ということは誰も言いません。
富士山の近くの大学の学長もそこら辺を根拠を持って言えば説得的なのですが言ってくれないので、結局行政側がそれができるかどうかを調べる羽目になり、また業務が増大します。
ですので、いろいろ思うことはあると思いますが、乾いたぞうきんを絞る状況でこれまでやってきていたので、ちょこっと皆さんも理解を深めていただければというお話でした。
ダラダラ長くて何言いたいんだか分かりにくいが、「厚労相はちゃんと通知してた。でも手の回らない保健所が意図的に無視してた」って主張なの? だったらそれを「誤解」とは言わな...