もう何週目だ、というくらい定番の話題だけれど、ブクマコメントなどを眺めていると、煙草に対してあれだけ厳しいはてな民の方たちが、お酒に関しては随分寛容なので不思議に思う。
まず、本人の受ける健康被害ということは、自業自得というかそれこそ基本的には本人の問題なので一旦後回しにするとして、やはり煙草嫌いの人たちが一番に指摘するのは副流煙だろう。これは直接的に他人に健康被害をもたらすので、問題にするのはよくわかる。
一方、お酒には確かに副流煙的なものはない。しかし、煙草を吸って前後不覚になり暴れるとか、記憶が飛ぶとか、めちゃくちゃな運転をする、などいうことはない。酔っぱらいによって引き起こされた幾多の暴行暴言等を考えると、お酒が他人の心身に与えている影響は煙草とくらべても決して少なくないはずだ。副流煙をバンバン吸ってもガンになるには大分時間がかかるが、酔っぱらいに車で轢かれれば一発であの世行きだ。
また、煙草の臭いというのも不快なものだけど、お酒の臭い、正確には酒そのものではなく酔っぱらいの臭いというのも相当不快だ。深酒した翌日の人の口臭たるや、喫煙者のそれに勝るとも劣らない。そういう口で寄ってこられると、殺意すら覚えるほどだ。ただ、酒は社会通念上昼間から飲んでいたらそれ自体諌められるのに対し、煙草は年中無休という違いはある。飲酒状態で他人に近寄らないというなら、煙草ほどの害は確かにない。
最後に、本人への健康被害だが、アルコールも相当なハードドラッグであり、常習者の受けるダメージは煙草にも劣らない、というか、飲酒量によっては煙草よりはるかに危険なのではないかと思う。ニコチン依存で廃人になり一家離散、という話は聞いたことがないが、アルコールではしばしば発生する。もちろん、アルコールも常習しなければそこまでの事態にはそうそう陥らないし、対して煙草は普通年中無休で毎日吸うものなので、この量・頻度の違いというのは確かにある。逆に言えば、煙草だって月にニ三箱つきあいで吸っている程度ならそこまでの健康被害はないだろう。
別段全面的に禁酒せよ、とまでは言わないけれど、他のドラッグ類に比べてアルコールはあまりにも甘く見られている。酔っぱらいに対する態度も、少なくとも欧米に比して日本はかなり甘い。せめて煙草に対するのと同じ程度の厳しい包囲網をしくべきだ。その上で一部の愛好家がマナーを守って楽しむのであれば、それはそれで良いと思う。煙草だってそうしてもらえれば特に文句はない。
ちなみに、大麻や他のそれほどハードではないドラッグ類についても、同じ程度の扱いにゆるめて良いんじゃないかと思っている。
アルコールは深く日本の文化と結びついており、また酒造産業の保護ということも考えなければいけないけれど、伝統も未来永劫のものではないし、古くから受け継がれているものがすべて正しい訳でもない。少しずつでも改めていくべきなのではないかと思う。
その元記事の人、抗うつ薬や睡眠薬や抗不安薬などを服用中なのに車を運転してるみたいなのが気になるんだよな。 同じ記事の中で「車を運転するのにアルコールを飲んだらダメだろう...
「日本は酔っ払いに甘い!欧米はそんなことない!」って出羽の守の妄言の最たるものだと思うんだけど。