刑事弁護人は被告人に対して誠実義務を負い、秘密保持義務を負います。
これらの義務に背いてまで真実発見に協力することは、弁護士倫理に反するものです。
誠実義務を負いますから、被告人の意思・利益に反する行為はすることができません。
「自分がやったが無罪を主張して欲しい」と言われた場合、これに反する主張をすることは被告人の意思・利益に反します。
秘密保持義務を負いますから、被告人が弁護人にだけ打ち明けてくれた事実を、他人に教えることはできません。
「自分がやったが無罪を主張して欲しい」と言われた場合、弁護人は被告人に無断でこの事実を他人に教えてはいけません。
被告人にとって起訴された事件に関する最後の唯一の相談相手は弁護人です。
弁護人は被告人を裏切ってはいけません。秘密保持義務に反することはスパイ的行為であり許されません。
「自分がやったが無罪を主張して欲しい」の他にも、身代わり出頭で「自分はやっていないが有罪を主張して欲しい」というのもあります。
これを聞かされた弁護人がやるべきことは、
・まずは被告人に対して「自分の認識と異なる主張をすることはやめるべきだ」と諭すこと、
・これを聞き入れず、あくまで認識と反対の主張をするのであれば、それに従うこと、
・このような被告人の主張に従うことが自分の弁護士としての良心に反するのであれば辞任すること、
です。
ただ、被告人には弁護人による弁護を受けることができる権利が憲法上保障されていますから、最後は誰かが被告人を弁護しなければなりません。
そのため、辞任をするというのは、よほどの事情がない限り原則として避けなければなりません。
そもそも、刑事裁判で犯罪があったことを主張・立証するのは検察官の役目です。
立証責任は全て検察官にあります。刑事裁判における被告人・弁護人は、検察官の主張を潰すことが役割です。
被告人に不利な証拠、例えば有罪である証拠を弁護人が掴んでも、それを主張・立証する義務はありません。
一方で、被告人に有利な証拠を掴んだのなら、それを主張・立証するのは義務になります。
こうした刑事弁護倫理は現行の刑事訴訟法が制定されて以降、長きにわたって学者・実務者を含めて広く議論され続けています。
特に1950年から1970年ごろまでは、戦前の旧刑事訴訟法からの脱却を目指して議論が活発でした。
現在ではある程度の見解の一致をみており、最近では2004年に弁護士職務基本規程が制定されました。
ここでは旧々弁護士倫理(1955年)や旧弁護士倫理(1990年)以上に、被告人に対する誠実義務・秘密保持義務が強調されるようになっています。
興味があれば法曹倫理・弁護士倫理に関する本が多く出版されていますので読んでみるといいと思います。
日弁連が出している「解説『弁護士職務基本規程』」あたりが定番ですが、これは文字通り弁護士職務基本規程の解説なので、多少広がりには欠けます。
「プロブレムブック法曹の倫理と責任」という本が、参考論文や判例・懲戒例などを載せてあり、最近の学生の間でよく参照されているようです。
他にも色々な本がありますが、刑事弁護のみを扱う本は実践的な刑事弁護の話が多く、倫理に関するものはさわり程度しか書かれていないかもしれません。
http://www.bengo4.com/topics/1540/ 別に今回の佐藤弁護士が悪い、とは俺自身は全く思わないし、 その人は単にゆうちゃんの言うことを信じて頑張っただけだと思うしそれは弁護士として正しい...
刑事弁護人は被告人に対して誠実義務を負い、秘密保持義務を負います。 これらの義務に背いてまで真実発見に協力することは、弁護士倫理に反するものです。 誠実義務を負いますか...
そういう姿勢がバランス維持として機能するくらい、昔から裁判は「魔女狩り」になりがちだったんだよ。 誰かの言うことを100%信用するんじゃなくて、皆で少しずつ意見を出し合って、...
いやいや、だから話が違うだろ。 今回の件だって、もし、被告が弁護士にはずっと自分は無罪なんだ、と主張してるなら 弁護士が全力で擁護するのは全く問題無いと思ってるよ。 ただ...
「自白」は証拠にならんから、この場合弁護士サイドだけで「有罪だと知りうる」にはならん。 たとえ本人が罪を認めていたとしても、証拠を示すのは検察の仕事で、弁護士の側ででき...
いや、だからさ、 「被告人は罪を認めてますが、状況証拠から言ってやってないと主張できる」 とかさ、それが弁護士側でもきちんとした証拠とかが出せれば良いよ? 「俺は有罪だけ...
偽証罪が適用されるのは証人であって当事者は関係ないよ。 被告人は自分の利益のために嘘をついてもいいし、被告人が嘘をつくことを前提にしてるのが裁判だ。
被告の示した証拠が嘘だったら、原文の言う「客観的な証拠になれば」には該当せん。 裁判が終わるまで無罪なんだから、現行制度では「弁護士が有罪を無罪に」なんてことにはならな...
http://anond.hatelabo.jp/20140521022208 http://anond.hatelabo.jp/20140521030439 http://anond.hatelabo.jp/20140521022411 つまり、証人以外に関しては、被告も検察も、 証拠をでっち上げようが嘘をつこうが構わない、...
まず、偽証が行われた場合の社会的打撃は弁護側より検察側の場合の方がはるかに大きい。 間違った人を拘束するのは、拘束される人への不利益はもちろん、実際の犯人が捕まってない...
つまり、証人以外に関しては、被告も検察も、 証拠をでっち上げようが嘘をつこうが構わない、ということか? 違う。 弁護人や検察官が証拠を隠滅(これには証拠の作出も含まれ...
依頼料金は指定できるわけだし、回数もこなせるしで結構美味しいような気もするぞ>刑事事件の弁護
これ、事実なの? 事実。 それは単に自分を守るため(有罪だと知っているのに無罪と主張してるというのがバレたら逆に懲戒を受けるから)とかだと思ってたんだけど違うの? ...