2009-08-03

とある県のとある県庁所在地に住んでいる20代後半男性俺の話。国政選

さて、国政選挙編。

http://anond.hatelabo.jp/20090725024708

http://anond.hatelabo.jp/20090726002306

このエントリ↑の続きです。

俺は、上記のエントリからも予想がつくと思うが、国政選挙では、小泉流構造改革路線を支持した。公共事業ガンガン削れ。既得権益を完全に打破すべきだ。自民党をぶっ壊す。この言葉を俺は、断然支持した。これで日本が良くなる。脂ぎったオヤジたちは、消滅はしないが、間違いなく勢力は弱くなる。日本の赤字状況も改善されるはずだ。公共事業依存するのは、一種のパターナリズムだ。それよりも、自発的起業体制を整えるべきだ。労働者派遣など、行き過ぎた面もあると思ったが、痛みを伴う改革である以上、一時的にはやむを得ないと思った。

安倍首相の下で参議院選挙が行われたとき、俺は、悩んだ。小泉流継承する経済政策については、安倍晋三を支持できる。しかし、「美しい国」のフレーズの下、前面に提示してくる保守的価値観には合わない。価値国家という装置によって押し付けようとする姿勢に嫌気がさした。価値家族地域コミュニケーションなどの空間で形成されるべきであって、国家押し付けるべきではない。価値の多様性、多元性を認めるべきだ、というのが俺の立場だ。

この時の選挙で、民主党は、公共事業の拡大による景気対策を主張した。これは昔の自民党と変わらない。脂っこいオヤジたちの世界だ。民主党案では、国の財政状況を改善できるのか、と。

昔からの自分政治信念を優先させるならば、自民党。しかし、価値押し付けには反発がある。悩んだ末、俺は、批判票として、共産党候補に入れた。結果は、自民党の大敗、民主躍進民主党の政策には、賛意を示す点もあるが、構造改革路線を批判した点には賛成できなかった。

結局、自民党も、構造改革路線からの後退を始めた。このとき、自分が支持する政党がなくなった。精神的、価値的な次元では、多様性、自由を容認すべき。経済については、選挙の足を引っ張り、既得権益をむさぼる利権団体をぶち壊し、財政再建に取り組む。自分の立場は、ここなのに。決して異常な立場ではない、と思っているのに。

このエントリ(→http://anond.hatelabo.jp/20090726011213)にも多少関係のある話ですが、自分の立場は、保守リベラルという枠組みで自己規定することができない、という自覚はある。上記のエントリは、おそらくアメリカ共和党民主党の対比をモデルとした保守リベラルの対比だと思う。特徴的な人物と言えば、共和党レーガンで、民主党リンドン・ジョンソン、かな。

このような枠組みに、自分は当てはまらない。政治理論に関する文献は、大学の時にかじっただけであんまり詳しいわけではないが、自分は、典型的保守でもないし、典型的リベラルでもない。自分立ち位置がわからない。こういうのは、変なのかな。

自分の考え方の奥にある話。なぜ公共事業無駄、と思われるのか。

一言で言うと、役に立ったと実感できないから、だと思う。橋を造る、道路を整備する、としても、すでに現状に特に不満がないならば、役に立つ実感を得ることができない。

例えば、3年ほど前、とある県のとある県庁所在地に住んでいる20代後半男性の「俺」の実家から徒歩10分ほどのところに、新しい橋が建設されました。橋を渡ったところに大型の買い物施設があるわけではありません。近隣住民は、通常の生活をしている限りではあんまり使いません。自動車を利用する人たちも確かに以前よりは便利になったと思いますが、以前も不便で不満だらけだった、というわけではありません。もちろん、トラック運送業者の方々など、自動車運転を専門としている方はどう思っているのかはわかりません。だけど、日常生活で自動車を使うレベル人間では、過去の状態に不満があったわけではない。

つまり、20世紀後半に自民党が色々開発してくれたおかげで、ある程度、生活基盤が整備されているわけです。新たに道路や橋を造っても、確かに便利になったといえばそうだけど、別に以前の状態に不満があったわけでもないのです。公共事業の成果を実感できない。だから道路、箱モノを造る公共事業無駄、と思われるのです。

裏を返すと、役に立つ、と実感できる公共事業を実施すれば、支持を集めることができる。

例えば、名古屋天守閣工事。詳しくは、このエントリを参照→http://anond.hatelabo.jp/20090726163635

名古屋在住ではないのでわかりませんが、名古屋市民が役に立ったと実感できるならば、有益な公共事業だと思います。

そして、今、現在

自民党の政策は、箱モノ行政から脱却できていない。生活者レベルで役に立ったという実感がないのに、公共事業の投下。だから、利益を与える代わりに票を得るという構造だ、既得権益だ、と批判の対象となる。麻生首相は大型公共事業を実行したが、あくまで目的景気対策。生活者の利便性の向上、ではない。だから、特定集団の支持(=業界団体の票)しか集められない。公共事業遂行しようとするならば、生活利便性の向上以上の正当化根拠が必要だと思う。

では、民主党はどうか。箱モノ行政を支持する人たちは、相対的には自民党よりも少ないが、民主党内部にも、存在している。あくまで私が書いた最初のエントリは、とある県のとある県庁所在地の話なのです。とある県のとある県庁所在地民主党系の市長は、箱モノ行政体質を改善して、赤字財政をなんとか立て直している、というだけ。

だから、民主党政権になったら箱モノ行政改善する、という期待感はあるが、実際のところは不明。予算の組み替えは、現実路線なんかに走らずに突っ切れるならば、凄い。高速道路の凍結も断固として実現できるならば、凄い。だが、実施できるのかという面は不安

道路や箱モノよりも、医療教育お金を回すべきだという民主党の方向性自体には賛成できる。民主党政権誕生した場合、戦後日本が形成してきた社会システムをどれだけぶちこわすことができるのか、は個人的に注目している。また、民主党案では、財政赤字の解消ができるか不安。ま、これは自民党案でも同じだけど。プライマリーバランスの問題はどこに消えたの?

今の自民党の迷走を招いたのは、おそらく、安倍晋三がバカだったからだと思う。

小泉さんは「痛みを伴う改革」と言った。ある程度の「痛み」は織り込み済みなんだ、と。小泉選挙圧勝した以上は、国民は「痛み」を共有すべきだ、と思った。だから、安倍が惨敗した参院選の結果に、俺は、国民わがままさを感じた。かく言う俺も、安倍晋三を支持しなかったんだけど。

では、なぜ安倍参院選で惨敗したのか。

小泉改革への批判と受け止められているが、俺は、安倍晋三選挙対策がバカだったから、と思う。小沢さんが「国民の生活が第一」と、生活者レベルの問題、さっきの自分言葉でいえば、役に立ったかどうかという実感を改善すると訴えたのに対し、安倍ちゃんは、「美しい国」。イデオロギーには、やはり信者しかついていけない。イデオロギーを前面に出せば、神々の争い、世界観闘争を生み易く、反発も招く。しかも、安倍ちゃんの場合、バカ右翼と同レベルで、歴史的検証を欠いている。こういうこと書くと、お前はサヨクか、と思われるけど、俺は福島瑞穂憲法観もカスだと思っているからね。私はやや特殊な立場です。

憲法改正よりも、生活レベル改善イデオロギーよりも、景気や、雇用を争点化した方が支持が集まる。これに着眼した小沢さんは、参院選で大勝利。自分は支持しなかったけど、選挙対策能力の高さはさすが、と思った。

イデオロギーを前面に出さず、小泉さん後継者として政治改革経済政策を実行していればよかったんですよ。結局、それがわからなかった安倍ちゃんは、保守観丸出しのイデオロギーを表明し、反発を招いた。その後の自民党の顛末は見ての通り。福田麻生と続き、小泉改革を揺り戻す。昔の自民党に戻ったといわれても仕方がない。

選挙というのは単一の争点で戦うものではないが、経済政策に関しては自民党は行き詰まりを示しているんじゃないかなーと思う。自民党政権恩恵を受ける人が特定化、特権化され過ぎていて、国民の一部にしか恩恵が受けられない。恩恵を受けない人にとっては、なぜ恩恵を受ける特別な業界があるのか、という理由が欲しい。なのに、その理由は、もうすでに賞味期限切れ。

記事への反応 -
  • 「公共事業を持って来て、地元経済の活性化をお約束します!!」 地元選出の国会議員(自民党の中でもそこそこ有力者)のこのような発話に対し、脂ぎったオヤジたちが「おおーー!!...

    • さて、国政選挙編。 http://anond.hatelabo.jp/20090725024708 http://anond.hatelabo.jp/20090726002306 このエントリ↑の続きです。 俺は、上記のエントリからも予想がつくと思うが、国政選挙では、小泉流...

    • 途中まで読んで面白そうだったんでメモっとく。 まず財政状況や予算の内訳を記載した資料を探し出せたのがすごい。地方自治体のサイトって「わざとか?」と思うぐらいぐちゃぐちゃ...

      • 今は公会計って概念が入って来ててある程度見えるようになってきてる 大概は総務省、都道府県、市区町村のHPにおいてある資料です 決算カード 自治体のお金の入り方、お金の使い...

    • でも日本全体で見ると21世紀になってからはずっと減らされてて、GDP比公共投資は戦後最低レベルまで下がってたはず。財政赤字は税収の低迷と社会保障費の増加による面が大きいのにい...

      • 確かに麻生以前は公共投資の額は減っていたが、今度の補正予算で小渕並みのバラ撒きを強行した。「いまだに公共事業さえ」という過去の話ではない。 小渕のバラ撒きをその後の努力...

        • 「デフレ不況」というからといって公共事業推奨ばかりではない。 金融緩和オンリーでいいという人もいれば、財政は減税中心がいいという人もいる。 あと管理通貨制では自国通貨も無...

    • 一部で俺の意見は違う部分がある。 箱物行政が赤字の原因というのは、微妙に違う。 日本の基幹産業、税収の根本が、凋落しているとはいえ自動車産業や建設業だという事実にある。 ...

    • 「とある県の、とある県庁所在地住んでいる、20代後半男性「俺」の話」Part2国政選挙編を投稿しようとしたら意外と反応があり。実はPar1地方選挙編が増田初投稿でした。批判でも反応が...

    • なんかいろいろおかしいねえ。元増田がおかしいんじゃなくて、日本の政治状況が。 民主系候補は、地元のサヨク弁護士だった。小さな政府を実現すると公約に入れていた。 地方選挙...

    • http://unkar.jp/read/gimpo.2ch.net/wildplus/1245634461 名古屋市の河村たかし市長は、名古屋城天守閣の改修工事を木造でやると言っている。その費用が500億円。 いまの名古屋城はコンクリート...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん