2023-11-06

「あれ?誰もゴジラさん見てないの? 」

「うん」

ゴジラさんの同級生女子Aはそう頷いた。

そうか、ゴジラさん、最近なんか思いつめていたもんな。

彼女名字ゴジラというだけで、名前花子さんという。

なんでも、両親がビオランテという花にちなんだらしい。

ちなみに僕はゴジラさんに片思いしていた。

というか、ゴジラさんは初恋だったのだ。

ある日の部活の帰り、真っ暗だったった帰り道の途中で、ゴジラさんはたったひとりで僕をまっていた。

最初幽霊か何かかと思ってびびったが、僕以外は僕とゴジラさんを置いて先に帰っていった。

ゴジラさんは言った。

「あのさ、今日、何の日か知ってるよね…」

「…バレン…タインデー…」

「当…た…り…」

彼女は僕に手作りと思われるチョコ差し出した。

そのチョコ怪獣総進撃バージョンゴジラちょっと似ていた。

そのディティール、徹夜でもして頑張ったんだろうか?

「帰ったら、必ず食べるからさ…」

「あと、ホワイトデーには必ず返すから…」

「返さんでもいいよ」

ゴジラさんは頬を赤く染めてそう語った。

そんな、何気ない日常から、ぼくたちの両思いの日々は始まった、かに見えた。

しかし、ゴジラさんは日に日に学校に姿を現さなくなった。

庵野がシンを撮り始めてからだろうか、それとも-1.0を撮り始めてからだろうか、

ゴジラさんは明らかに学校に来る日数が減っていた。

それどころか体中が傷だらけだった。

虐待?またお父さんに虐待受けてるの?」

あんな家でろよ!」

「そんなんじゃないって…、家にお金が入ってきてるんやって…」

そんな生傷の耐えない彼女お金なんて釣り合わないじゃないか

家出しよう。ゴジラさんと僕とで家出するんだ。ギターの流しでもしてなんとか食わせてやるから

そんな僕ののんきな発言ゴジラさんは笑った。

でも、僕はそのときはまだ気が付かなかったのだ。

これがゴジラさんとの最後の会話になるということに…。

ゴジラ以外はノンフィクションです。

※次回は体育用具室に生徒会長ガイガンと二人きりで閉じ込められる話をお送りいたします。

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