さっきまで聴いてた曲が今つけたカーラジオで流れ出す。懐かしいタイトルの漫画を読んだら、翌日近くの席の奴らが示し合わせたようにその作品の話をしている。
ちょっとした偶然というか、シンクロニシティみたいなのって割とあると思う。
おれの中でそれの最大級がある。
高校の頃おれはほとんど本を読まなかったけど、何の気なしに図書室で本をいくつか借りた。小説を5〜6冊。それきりあまり借りてない。
1年か2年後に羽田圭介が芥川性を受賞した。又吉とダブル受賞の時だ。
おれが借りた本の中にも羽田圭介の作品があった。確か『黒冷水』だったと思う。
それだけならまあ、お〜偶然だな〜くらいだったけど、さらに1,2年後に荻原浩が直木賞を受賞した。
こちらもおれが借りた中にあった。何冊か借りたと思う。『砂の王国』は超面白かった。
朝のニュースで受賞を知って、なんか非常にインパクトがあった。
高校の図書室だから本も厳選されてて必然的に賞にも近いだとか、本を読まない奴にも興味を惹かせるようなタイトルや装丁だったんじゃないかとか、偶然を必然にするつまらない理屈はいくらでもつけられるけど。
それでも気まぐれで借りた本の中から芥川賞と直木賞の二人が出て、非常に印象深かった。
どちらも別に図書室がプッシュしてたとかはなくて、開架をボーっと眺めてフィーリングで手に取ったから。
慧眼というのとは違う。それは数ある作品を読んで、その中から評価されるであろうものを的確に選び抜く事だろうから。
それが人生トップの偶然で、次点が大学生活中で入り用なのにマジで金がない時、あぶく銭が転がり込んできて事なきを得た時。
詳細は忘れたけど、口座にも財布にも誇張抜きで金がない時にそういう事が何度かあった。それがなくて痛い目見てたらもっとしっかり覚えていたかもしれない。